長谷川等伯(1539~1610)は能登七尾出身で、安土桃山時代に活躍した日本を代表する画家の1人です。当館では平成8年から毎年「長谷川等伯展」をシリーズで開催し、数々の名作を紹介してきました。
本シリーズでは、これまで等伯などの作品を年代順に展示してきましたが、12回目の開催となる今回はいよいよ等伯が最晩年期に制作した作品がテーマとなります。
親交厚かった知己を精魂こめて描いたといわれる肖像画「日通上人像」(本法寺蔵)や、等伯晩年期の特徴である強い筆致で表された水墨表現による代表作「商山四晧図襖」「禅宗祖師図襖」(天授庵蔵)、没する前年の71歳時に描かれた等伯最後の現存作品である「十六羅漢図屏風」(智積院蔵)など、最晩年期制作の作品を中心に展示します。
また、「十二天図」(正覚寺蔵)や「達磨図」(龍門寺蔵)など、等伯が「信春」と名乗って活躍していた若年期~壮年期の作品や、等伯の一門である「長谷川派」と呼ばれる人々が制作したと考えられている作品も併せて、重要文化財4点を含む計17点の名作を紹介します。
等伯は生涯最後の時に至るまで、美への探求を続けたとされます。その気力を衰えさせる事なく絵筆を握り続けた様は、「豪気ノ風体有り、時輩之二及ブ者無シ」と評されました。そんな等伯が最後に生み出した作品を通して、その「生きざま」を感じていただければ幸いです。