2019年2月15日(金)、東京・台東区の東京国立博物館で、京都国立博物館で10月12日(土)から開催される「流転100年 佐竹本三十六歌仙絵と王朝の美」の記者発表会が開催された。
鎌倉時代以降、多く描かれた歌仙絵の中でも、旧秋田藩主・佐竹侯爵家に伝来した《佐竹本三十六歌仙絵》を紹介する特別展。
『三十六歌仙絵』とは、歌人・藤原公任(966-1042)の『三十六人撰』に選ばれた、柿本人麻呂や小野小町など、36人の優れた詠み人を描いた絵巻物のこと。
旧秋田藩主・佐竹侯爵家に伝来したことから「佐竹本」と呼ばれる《佐竹本三十六歌仙絵》は、鎌倉時代の肖像画、歌仙絵を代表する作品である。元は上下二巻の巻物で、各巻に18名ずつ、計36名の歌人の肖像が描かれていた。
明治維新以降、多くの武士が没落。大名家も例外ではなく、実業家などに転身した一部を除く家以外は、明治末期から昭和初期にかけて、家宝の売却などで、生計を立てなければならない事態に追い込まれた。
佐竹侯爵家も、その時代の波に抗うことができず、大正6年(1917)に「佐竹本」を「虎大尽」と呼ばれた実業家・山本唯三郎(1873-1927)へ売却。しかし、山本の経営が暗転したため再び売りに出された。
この高額な作品を単独で購入できる人物がなく、海外流出を恐れた当時の経済界の中心人物であった、増田孝(号・鈍翁 1848-1938)たちが発起人となり、共同購入するために「佐竹本」を分断。その後、大正8年(1919)12月20日、一流の財界人や茶人数十人が品川・御殿山の「応挙館」に集まり、自身の購入する歌仙絵を、くじ引きで割り当てられた。
この流転から、2019年はちょうど100年を迎える。断簡となった《佐竹本三十六歌仙絵》は、現段階(2019年2月15日現在)で全37件のうち、28件の出陳が決定。京都国立博物館 学芸部工芸室の研究員、井並林太郎さんは「現在交渉中の作品も多数あるため、今後も増える可能性もあるので、続報を期待してほしい」と、話した。
「流転100年 佐竹本三十六歌仙絵と王朝の美」は京都国立博物館で2019年10月12日(土)~11月24日(日)まで開催。
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