正倉院宝物の精巧な再現模造の数々を一堂に公開する展覧会が奈良国立博物館で開催される事となり、2020年1月21日(火)、都内で記者発表が行われた。
奈良・東大寺の倉であった正倉院正倉に伝えられた正倉院宝物は、聖武天皇ゆかりの品々を軸とする奈良時代の宝物群。出土品ではなく、人から人へ伝えられた品々のため、保存状態が極めて良好な事が特徴といえる。
正倉院宝物は明治時代に奈良で開催された博覧会を機に、本格的な模造製作がスタート。昭和47年(1972)からは、宝物の材料や技法、構造の忠実な再現に重点がおかれるようになり、芸術性・学術性の高い優れた再現模造が数多く生み出されてきた。
展覧会では、これまでに製作された数百点におよぶ正倉院宝物の再現模造品の中から、選りすぐりの約100点を一堂に公開。
「楽器・伎楽」「仏具・箱と几・儀式具」「染織」「鏡・調度・装身具」「刀・武具」「筆墨」の6章構成で、美しく再現された天平の美と技を展示するとともに、伝統技術を継承することの意義についても紹介していく。
中でも正倉院を代表する優品で、昨年8年がかりで完成した、螺鈿紫檀五絃琵琶の再現模造の展示は注目される。
展覧会タイトルにある「再現模造」については、「単なる贋作やレプリカと思われがちな『模造』ではなく、熟練の技によって同じものをつくるリプロダクションが『再現模造』」(宮内庁正倉院事務所の西川明彦所長)として、その意義を語った。
「御大典記念 特別展 よみがえる正倉院宝物 ─再現模造にみる天平の技─」は奈良国立博物館で、2020年4月18日(土)~6月14日(日)に開催。観覧料は当日券が一般 1,500円など。前売り券は3月18日(木)の発売で、一般 1,300円など。2枚で2,000円の早割ペアセット券は2月18日(月)発売。
奈良国立博物館での開催後、全国を巡回する予定。会場と会期は以下。
2020年7月18日(土)~8月30日(日) 長野;松本市美術館
2020年10月3日(土)~11月23日(月・祝) 名古屋;松坂屋美術館
2021年2月9日(火)~3月28日(日) 沖縄県立博物館・美術館
2021年4月20日(火)~6月13日(日) 福岡;九州国立博物館
2021年7月3日(土)~8月29日(日) 新潟県立近代美術館
2021年9月15日(水)~11月7日(日) 北海道立近代美術館
2022年1月26日(水)~3月27日(日) 東京;サントリー美術館
模造 螺鈿紫檀五絃琵琶(らでんしたんのごげんびわ) 正倉院事務所蔵
模造 螺鈿玉帯箱(らでんぎょくたいばこ) 東京国立博物館蔵
発信:
インターネットミュージアム>
「特別展 よみがえる正倉院宝物」公式サイト