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ボストン美術館 ミレー展 ― 傑作の数々と画家の真実

■ミレーの代名詞、30年ぶりに東京へ
【会期終了】 油彩画・パステル画・版画・素描など170点以上のミレー作品を所有し、世界で最も包括的なミレー・コレクションと称される米・ボストン美術館から、珠玉の名品が来日。高知、名古屋の巡回を経て、いよいよ東京で開幕です。
幅広く良質の作品を所有するボストン美術館。ミレーのコレクションは、米国人画家のウィリアム・モリス・ハントがきっかけです。

渡仏時代にミレーと親交を結んだハントは、帰国後にボストンの富裕層にミレー作品を薦め、ボストン美術館の初代理事長らが作品を購入。後にボストン美術館に寄贈されて、今日のコレクションとなりました。

本展ではミレーの初期から晩年までの油彩25点を展示。またミレーと並ぶ写実主義(レアリスム)の創始者クールベや、同じバルビゾン派のコロー、ディアズ、ルソーら、また後の時代のモネやレルミットも紹介し、計64点で周辺への影響も含めて展観します。


会場入口から

ミレーの代名詞といえる《種をまく人》。神話や宗教を題材にした絵画が主流だった19世紀半ばに、働く農民の姿を力強く描いた本作は、社会に強いインパクトを与えました。

明治時代からミレーの人気が高かった日本でも、《種をまく人》は1933(昭和8)年から岩波書店のマークにも採用されるなど、早くからミレーの代表作として受容されています。

ボストン美術館の《種をまく人》が来日するのは、1970年、84年、94年、2002年に続いて5回目。ただし前回と前々回は東京には来ていないので、東京に登場するのは1984年以来、ちょうど30年ぶりとなります。


ジャン=フランソワ・ミレー《種をまく人》

《種をまく人》と同じ展示室で紹介されているのが《羊飼いの娘》。空を背景に逆光で描かれた少女の姿は、妻の温泉療養で訪れたヴィシーで出会った娘を取り入れています。

実はこの作品は、ミレーの別作品の上に描かれたもの。Ⅹ線による分析で、この絵の下には1848年のサロンで展示された《バビロンの捕囚》が描かれている事が分かっています。

典型的な歴史画である《バビロン捕囚》を捨て、その上に農民の姿を描いたことは、ミレーの方向性を検証する上でも重要な事象として捉えられています。


ジャン=フランソワ・ミレー《羊飼いの娘》

ミレーは1840年代終わりから60年代初めにかけて、家事をする女性を描いた作品を数多く残しています。

一見して分かるのは、フェルメールなど17世紀オランダ風俗画からの影響。質素な生活を描いた作品は、故郷を離れて都会で暮らす人々の郷愁を誘い、支持を集めました(ミレー自身も農家の長男に生まれましたが、故郷を出ています)。


第4章「家庭の情景」

ミレーの生誕200年を記念した展覧会という事もあって本稿ではミレーの作品をご紹介しましたが、ミレー以外の作品も充実しています。うっそうとしたフォンテーヌブローの森を描くド・ラ・ペーニャ、印象派の影響も受けてミレーより明るい画面のジュリアン・デュプレ、そのデュプレに影響を受けたコンスタン・トロワイヨンの力強い動物などなど。ミレーとともにもお楽しみください。三菱一号館美術館(東京・丸の内)にて、2015年1月12日まで開催中です。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2014年10月16日 ]

ミレーの名画はなぜこんなに面白いのか

井出 洋一郎 (著)

KADOKAWA/中経出版
¥ 756

料金一般当日:1,600円
 → チケットのお求めはお出かけ前にicon

 
会場三菱一号館美術館
開催期間2014年10月17日(金)~2015年1月12日(月)
所在地 東京都千代田区丸の内2-6-2
TEL : 03-5777-8600(ハローダイヤル)
HP : http://mimt.jp/millet/
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