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    レポート
    没後180年 田能村竹田
    出光美術館 | 東京都
    久しぶりの大規模展
    江戸時代後期に活躍した文人画家、田能村竹田(たのむらちくでん 1777~1835)。充実した竹田コレクションで知られる出光美術館で、没後180年を記念した展覧会が開催中です。
    (右から)重要文化財《梅花書屋図》田能村竹田 / 《村居暁起図》田能村竹田
    (右から)重要美術品《春隄夜月図》田能村竹田 / 《柳閣暁粧図》田能村竹田
    (左から)《三津浜図》田能村竹田 / 《漁舟売章魚図》田能村竹田
    (左から)《山陰訪戴図》田能村竹田 / 《考盤図》田能村竹田
    (左から)《春園富貴図》田能村竹田 / 《蘭図》田能村竹田
    (右から)《桃花図》田能村竹田 / 《梅花図》田能村竹田
    《書画貼交屏風》田能村竹田
    (右から)《蜀桟道図》池大雅 / 《龍山落帽図》与謝蕪村
    会場入口
    江戸時代の中ごろに池大雅や与謝蕪村によって大成した日本の文人画。江戸時代後期に大きく発展し、その代表的な人物のひとりが田能村竹田です。

    出光美術館は数多くの竹田作品を所蔵、特に円熟期の山水画が充実しています。本展も最初に竹田の代表的な山水画を展示し、精巧な筆さばきを紹介しています。

    本展の特徴が、作品脇の拡大画像。例えば《春隄夜月図》なら、まず解説を読んだ後に、拡大画像でポイントとなる「堤」と「邸内」をチェック。その後に実物を見る事で鑑賞のツボが理解できる、という流れです。


    順に、重要文化財《梅花書屋図》》と《春隄夜月図》

    拡大画像は作品と同じ壁面では無く、手前のガラス面につけたのもポイント。作品に近寄って鑑賞すると拡大画像が視線に入らないので、集中して作品の世界に没入できます。

    「文人画はちょっと…」という方が良く指摘するのが、画中に書かれている漢詩(賛文)が読めない、という事。そこで本展では釈文+訓読+大意の解説パネルも随所に設置されています。賛の意味を追いながら作品を見る事で、竹田の芸術観に近寄る事ができるのです。


    《琵琶行図》

    田能村竹田は豊後の藩医の家に生まれましたが、儒者として藩の仕事に従事。現実と政治との矛盾に気づいて37歳で隠居し、望んでいた「文人」としての人生を歩みました。

    竹田の生涯は、旅とともにありました。25歳で江戸に向かったのをはじめ、九州各所や大坂、京都へ。尾道、宮島、兵庫などにも出向き、旅先では友人たちと交流を深めました。

    旅先で多くの作品を描いた竹田。画帖に描かれたスケッチや、軽いタッチの掛け軸、書と画を貼り交ぜた屏風など、その作品は「みっちりとした描き込み」だけでは無い事も分かります。


    2章~4章

    会場最後には、他の日本人文人画家の作品も紹介されています。

    色彩表現が豊かだった池大雅。竹田は大雅の遺風を慕っており、花鳥画などにその感覚が活かされています。

    逆に竹田が評価していなかったのが与謝蕪村。画論の中でもかなり厳しく、どうも中国趣味に軸足を置いた作風がお気に召さなかったようです。

    会場最後の高橋草坪と帆足杏雨は、ともに竹田の門人です。


    順に、池大雅《蜀桟道図》、与謝蕪村《龍山落帽図》、高橋草坪や帆足杏雨の作品

    国内外屈指の竹田コレクションを持つ出光美術館ですが、竹田にスポットを当てた企画展は出光美術館では実に18年ぶり。久々の大公開となります。

    会場入って右側の4点は「これぞ田能村竹田」という逸品。これにもう1点を加えて、あなたの「竹田ベスト5」をお楽しみください。
    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2015年6月25日 ]

    田能村竹田 画論『山中人饒舌』訳解田能村竹田 画論『山中人饒舌』訳解

    竹谷 長二郎 (著), 大越 雅子

    笠間書院
    ¥ 2,700

     
    会場
    会期
    2015年6月20日(土)~8月2日(日)
    会期終了
    開館時間
    午前10時~午後5時(入館は午後4時30分まで)
    休館日
    月曜日休館 ただし7月20日は開館
    住所
    東京都千代田区丸の内3-1-1帝劇ビル9F
    電話 03-5777-8600(ハローダイヤル)
    公式サイト http://www.idemitsu.co.jp/museum/honkan/exhibition/present/index.html
    料金
    一般 1,000円/高大生 700円/中学生以下無料
    ※20名以上の団体は各200円引き
    展覧会詳細 「没後180年 田能村竹田」 詳細情報
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