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    レポート
    新・北斎展 HOKUSAI UPDATED
    森アーツセンターギャラリー | 東京都
    東京では十数年ぶり、北斎のすべて
    世界で最も知られている日本人芸術家のひとり、葛飾北斎(1760-1849)。作品を全く知らない人はほとんどいないと思いますが、なんといっても画業は約70年。知られざる作品もまだまだあります。あらためて網羅的に北斎を紹介する展覧会が、森アーツセンターギャラリーで開催中です。
    (左から)「大伴の真鳥 大友の宿祢兼道」天保4~5年(1833~34)頃 日本浮世絵博物館 / 「鬼児嶋弥太郎 西法院赤坊主」天保4~5年(1833~34)頃 島根県立美術館(永田コレクション)[ともに1月28日(月)まで展示]
    (左)《夜鷹図》寛政8年(1796)頃 細見美術館 / (右三福対)《風俗三美人図》寛政10年(1798)頃 太田記念美術館[ともに2月18日(月)まで展示]
    《津和野藩伝来摺物》島根県立美術館(永田コレクション) (左上から時計回りで)「金太郎の書初め」「元結作り」「凧を持つ娘」「鹿島踊りの猿」[通期展示 ※4期に分けて全118点を展示]
    (左から)「しんはん石橋山合戦組上ヶとうろうゑ」文化中期(1807~12)頃 / 「しん板くミあけとうろふゆやしんミセのづ」文化中期(1807~12)頃 ともに島根県立美術館(永田コレクション)[ともに2月18日(月)まで展示]
    「かな手本忠臣蔵」文化初~中期(1804~13)頃 シンシナティ美術館[通期展示]
    (左から)《蛸図》文化8年(1811)前後 / 《酔余美人図》文化4年(1807)頃 ともに氏家浮世絵コレクション[ともに2月18日(月)まで展示]
    (左上から)《なまこ図》文化末~文政初期(1814~19)[1月28日(月)まで展示] / 《生首図》文化中期(1810~14)頃 ともに島根県立美術館(永田コレクション)[2月18日(月)まで展示]
    (三点ずつ、左から)「勝景雪月花 東都品川の雪」・「勝景雪月花 東都隅田の月」・「勝景雪月花 東都飛鳥の花」天保初期(1830~34)頃 / 「勝景雪月花 摂津能勢の雪」・「勝景雪月花 摂津淀川の月」・「勝景雪月花 摂津桜の宮花」天保初期(1830~34)頃 / 「勝景雪月花 山城嵯峨ノ雪」・「勝景雪月花 山城四条の月」・「勝景雪月花 山城嵐山の花」天保初期(1830~34)頃 すべて島根県立美術館(永田コレクション)[すべて1月28日(月)まで展示]
    (左から)《月みる虎図》天保15年(1844) 島根県立美術館(永田コレクション)[1月28日(月)まで展示] / 《向日葵図》弘化4年(1847) シンシナティ美術館[通期展示]

    何度も画号を変えるだけでなく、画風も大きく変わっている北斎。展覧会ではデビュー作から絶筆まで、6期に分けて作品を紹介していきます。


    まずは、20歳でデビューした【春朗期】。勝川春朗を名乗っていた時代は、役者絵や挿絵本を得意にしていました。《鎌倉勝景図巻》は初公開の長巻。鎌倉から江ノ島への道中を描いたもので、穏やかな作風が印象的です。


    続いて琳派の俵屋宗理の名を襲名した、36~46歳頃の【宗理期】。この時期に描いた細おもての楚々とした女性像は、「宗理美人」として人気を博しました。《津和野藩伝来摺物》は、全118点を4期に分けて公開。秘蔵されていた事もあり、美しい色が保たれています。


    【葛飾北斎期】は46~50歳頃。肉筆の美人画は、少女のような雰囲気から大人の艶やかさが目立つようになります。「かな手本忠臣蔵」も初公開。あまり知られていませんが、北斎は忠臣蔵も数多く手掛けています。


    「しん板くミあけとうろふゆやしんミセのづ」は、ユニークな組上絵です。紙のパーツを切り抜いて立体にする、いわばペーパークラフトです。



    【戴斗期】は51~60歳頃。有名な『北斎漫画』はこの時期から出版が始まりました。絵画の技は肉筆で伝えるのが当たり前だった時代に、「描き方入門」として版本で広める手法は画期的といえます。1冊で完結する予定でしたが、人気を博した事から続編が次々に刊行。最終の15編は北斎没後の明治11年に出版されています。


    61~75歳頃は【為一期】。その実力は冴えわたり、風景・花鳥・人物・武者と、ありとあらゆる物を描きました。「冨嶽三十六景」をはじめとする錦絵の揃物は、この時期。70歳を過ぎていた事には驚かされます。


    最後が【画狂老人卍期】。肉筆が多いこの時期は、会場全体で最も見ごたえがあります。88歳で描いた《向日葵図》は、日本初公開。ヒマワリを描いた作品は、あまり例がありません。自らの表現を追い求める姿勢は、最晩年まで衰える事はありませんでした。


    意外にも東京では十数年ぶりの開催となる、大規模な北斎展。約480件(会期中とおして)という膨大な作品で、北斎の全容をお楽しみいただけます。江戸絵画つながりで「奇想の系譜展」(東京都美術館:2/9~4/7)とのセット券も発売中です(販売は3/24まで)。


    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2019年1月16日 ]


    ※会期中に展示替えがあります。


    日経おとなのOFF 2019年 1月号日経おとなのOFF 2019年 1月号

    日経BP社(編)

    日経BP社
    ¥ 820

    料金一般当日:1,600円
     → チケットのお求めはお出かけ前にicon

    会場
    会期
    2019年1月17日(木)~3月24日(日)
    会期終了
    開館時間
    ※展覧会によって異なります。
    休館日
    1月29日(火)、2月19日(火)、2月20日(水)、3月5日(火)
    住所
    東京都港区六本木6-10-1六本木ヒルズ森タワー52階
    電話 03-5777-8600(ハローダイヤル)
    公式サイト https://hokusai2019.jp/
    料金
    一般 1,600(1,400)円 / 高・大生 1,300(1,100)円 / 小・中学生 600(500)円

    ※( )内は前売券および15名以上の団体料金(添乗員は1名まで無料)
    ※障がい者手帳をお持ちの方と介助者1名までは、当日料金の半額
    ※前売券は11月27日(火)~2019年1月16日(水)まで販売

    早割ペア券:2,400円
    販売期間:~11月26日(月)まで
    取扱先:展覧会公式サイト、チケットぴあ、イープラス、スマチケ、ローソンチケット
    展覧会詳細 新・北斎展 HOKUSAI UPDATED 詳細情報
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