東京国立博物館で開催中の
「ボストン美術館 日本美術の至宝」で、巨大な雲龍図が里帰りして話題を呼んでいる曾我蕭白。
2005年には
京都国立博物館で大規模な回顧展が開催されていますが、首都圏での蕭白展は1998年以来。久しぶりの開催です。
曾我蕭白 ─ 蕭白出現江戸時代中期、京都では多くの個性的な画家が活躍していました。円山応挙(まるやまおうきょ)をはじめ、池大雅(いけのたいが)、与謝蕪村(よさぶそん)、伊藤若冲(いとうじゃくちゅう)、そして曾我蕭白など。群雄が割拠する京都画壇は、豊かな才能にあふれていました。
今回の展覧会は曾我蕭白を中心に、蕭白前史と、蕭白をとりまく京都の画壇にも焦点を当てた展覧会です。
曾我蕭白 ─ 蕭白高揚展覧会の構成は「蕭白前史」「曾我蕭白」「京(みやこ)の画家たち」の三章。うち第二章は「蕭白出現」「蕭白高揚」「蕭白円熟」の三部に分けて、年代別に蕭白の画業を振り返ります。
「蕭白前史」では蕭白の師と推定される高田敬輔(たかだけいほ)、「京の画家たち」では若冲の見事な花鳥画も出展されていますが、やはり注目は曾我蕭白。荒々しい筆致と繊細な描写が同居する、強い印象の作品が並びます。
《竹林七賢図襖》から、会場風景曾我蕭白が伊勢地方を遊歴した際に旧家・永島家で描いた四十四面の襖絵は、蕭白が一箇所に遺した作品としては最大規模。収蔵した
三重県立美術館は2004年から6カ年計画で修復作業を行い、本展では修復後初の一般公開となりました。
《竹林七賢図襖》もそのひとつ。賢人にも関わらず俗っぽい表情をしているのは、蕭白が描く人物の特徴でもあります。
曾我蕭白 ─ 蕭白円熟日本画は作品保護のために長い間展示できないこともあり、前後期で大きく展示内容が変わる本展。会期後半も極彩色の《群仙図屏風》、ぼろぼろの手紙を口にし、狂ってしまったかのような《美人図》など、注目作が目白押しです。
全作品を見るには4月30日までと5月8日以降の2回の来館が必要ですが、チケットの半券があれば2回目以降の観覧料が半額になるという、嬉しいリピーター割引も。遅れてきた蕭白ファンには、またとない機会です。(取材:2012年4月12日)