IM
レポート
東大寺 ― 鎌倉再建と華厳興隆 ―
神奈川県立金沢文庫 | 神奈川県
肖像彫刻の最高傑作
平安時代末期の南都焼討で壊滅的な打撃を受けながらも、国家的事業として再建された奈良・東大寺。鎌倉再建期を中心に東大寺の至宝を紹介する展覧会が、神奈川県立金沢文庫で開催中です。
国宝《重源上人坐像》
《東大寺大仏縁起 下巻》
重要文化財《四聖御影 永和本》(展示期間 10/11~10/27)
重要文化財《四天王立像》
仏画が並ぶ第2部「華厳の世界」
国宝《華厳五十五所絵巻》
会場
重要文化財《紺紙銀字華厳経》
ロビーには、東大寺南大門・金剛力士像の実物大模型(面部)も
毎年、春と秋に特別展が開かれる金沢文庫。収蔵する重要文化財《称名寺聖教》には東大寺の鎌倉再建に関する資料も多く含まれるなど、東大寺とは浅からぬ縁があります。

東大寺から数多くの逸品が出展されることもあり、ネットでも話題を呼んでいる本展。会場は3部構成です。

まず第1部は「東大寺の鎌倉再建」。南都焼討後の再建はもとより、鎌倉時代中期・後期も含めて焦点を当て、この時代に行われた東大寺の再建事業を展観します。


会場

展覧会最大の目玉は、国宝《重源上人坐像》。重源(ちょうげん)は東大寺の鎌倉再建に尽力した高僧で、本像は大仏殿東方の俊乗堂に安置されています。

高さは81.8センチと、原寸に近い大きさ。作者は確定されていないものの、運慶工房によることはほぼ確実です。

やや前方に出た頭部に、威厳のある表情。老身の痩躯ながら、間近で見ると圧倒されるような力強さを感じます。わが国の肖像彫刻史上最高傑作のひとつにあげられる傑作です。


国宝《重源上人坐像》

重要文化財《四天王立像》は、東大寺戒壇院千手堂の本尊(厨子入千手観音立像)の脇侍。それぞれ50センチ程の大きさですが、彩色も残る美しい4体です。

《地蔵菩薩立像》も重要文化財。こちらは快慶の円熟期の作品で、美しい衣の表現と慈悲深い表情が印象的です。


重要文化財《四天王立像》と、重要文化財《地蔵菩薩立像》

第2部は「華厳の世界」。東大寺は仏教の諸分野を学ぶ「八宗兼学」を謳いますが、大仏は華厳経の教主である盧舎那仏であるなど、華厳学は中心的な存在です。

ここでは、華厳学の興隆を紹介。華厳経にみえる善財童子の物語をかわいらしく描いた国宝の絵巻や、金泥・銀泥で書かれた美しい華厳経の経典などが展示されています。


第2部「華厳の世界」

第3部は「東大寺の学問」。日本各地から学僧が集っていた東大寺。多くの書籍がその学問の隆盛を伝えています。

こちらでは、学僧による数多くの著作が展示されました。


こちらは全て凝然(ぎょうねん)の著作。中には仏教儀礼で用いられる声明譜(楽譜)なども

取材に訪れたのは平日ですが、多くの来館者で賑わっていた金沢文庫。特に国宝《重源上人坐像》は人気が高く、ガラスケースの中とはいえかなり近づいて見ることができるため、食い入るように見入っていたお客様の姿が印象的でした。

なお、会期中一部の資料は展示替えされます。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2013年10月22日 ]

もっと知りたい東大寺の歴史

筒井 寛昭 (著), 坂東 俊彦 (著), 梶谷 亮治 (著)

平凡社
¥ 1,890

 
会場
会期
2013年10月11日(金)~12月1日(日)
会期終了
開館時間
9:00~16:30(入館16:00まで)
休館日
月曜日休館 ただし10月14日(月・祝)、11月4日(月・祝)は開館。10月15日(火)、11月5日(火)は休館
住所
神奈川県横浜市金沢区金沢町142
電話 045-701-9069
公式サイト http://bit.ly/x4LER6
料金
一般 800(700)円/20歳未満・学生 600(500)円/65歳以上・高校生 100円
※中学生以下、障害者手帳をお持ちの方は無料
※()内は20名以上の団体料金
展覧会詳細 特別展 「東大寺―鎌倉再建と華厳興隆―」 詳細情報
おすすめレポート
ニュース
ご招待券プレゼント
学芸員募集
展覧会ランキング
おすすめコンテンツ