常盤山文庫は、1943年に実業家菅原通濟がその母体を築いたコレクションで、その一部が慶應義塾に寄託されています。慶應義塾ミュージアム・コモンズでは、常盤山文庫創立80周年を記念し、その名品と、慶應義塾の収蔵品を併せて紹介します。
禅は仏典などに頼らず、坐禅や問答などの実践的な修行を重視する仏教の教派のひとつです。禅僧は、開祖である達磨や、悟りの境地を示す風狂な聖者の姿などを、憧れを持って眺めました。また、日本の禅寺では、舶来の墨蹟や絵画を珍重しました。それらは、宗教の枠組みを越えて日本の風土のなかで広がり、室町文化の土壌になります。
禅の美術を代表する水墨画の、墨や淡彩のみを用い、余白を生かした表現は、時に、ともに認められた画賛(詩)とあわせて、時間や空間を越えた景色や世界を生み出します。室中にありながら、描かれた山水の世界に入り込み、自在に想像をめぐらせて時空を越えていく———本展は、そんな「臥遊」の境地を体験し、楽しむ展覧会です。禅の美術に触れて親しんでいただく機会となれば幸いです。
【シンポジウム】
「常盤山文庫コレクションがつなぐ、モノと人のネットワーク」
日時:2023年11月14日(火) 18時~20時30分(開場17時30分)
会場:慶應義塾大学 三田キャンパス G-Lab(東館6階)
どなたでもご参加いただけます(入場無料、事前予約制)
ご予約・詳細 https://kemco.keio.ac.jp/all-post/20231114/
*臥遊(がゆう)=寝そべりながら、山水の絵を眺めて、その世界に遊んだ気持ちになること