『デザインの国』とよばれる日本。それは高価でカッコイイ物や近代的なプロダクトだけを指しているのではありません。
実は、日常のくらしの中の道具や仕組み、生活習慣といったものにも、優れた〈デザイン〉が隠れているのです。
NHKがすすめている全国各地の生活文化のリサーチプロジェクトでは、第一線で活躍するクリエーターたちが、さまざまな〈デザイン〉を現場でリサーチ。その成果を「デザインミュージアムジャパンプロジェクト」として、展覧会やトークショーなどへと展開してきました。
プロダクトデザイナー・柳宗理のデザインのプロセス、新潟・佐渡の船大工が暮らした町並み、世界最先端の富山のスポーツウエア、岡山で作られるプロペラの合理的な美しさ、秋田の西馬音内盆踊り衣装の魅力、滋賀の石積職人「穴太衆」の技術、などなど…。
「これもデザインと呼ぶの?」と疑問を持つものがあるかもしれません。
しかし、クリエーターたちにとっては、触発され、わくわくした気持ちになって次のおもしろい物を組み立てる原動力になるもの、〈デザインの宝物〉と呼びたくなるものです。
そうして集めた日本中の〈デザインの宝物〉をつないでいけば、日本全体がひとつの大きな〈デザインミュージアム〉だととらえられるのではないか。
日本中の多くの人に、〈デザイン〉は、実はわたしたちのまわりにあふれていて、日々の暮らしに豊かさや活力を与えていることに気づいていただきたい。そして、今はまだ存在しない日本の〈デザインミュージアム〉の姿についての、ひとつの提案となることを願っています。