今年の春は、宵空に土星がよく見えます。土星は、木星に次いで2番目に大きな惑星です。直径が地球の9倍、質量が95倍もあり、密度が惑星の中で最も小さく0.7しかありません。土星本体は大部分が水素でできています。アンモニアの雲があり、速い自転のために平行な模様になって見えます。
土星には、美しい環があります。環は、地球からは1枚の板のように見えますが、実際は、小さな氷のかけらや微粒子でできています。地球からの観測では、環は外からA環、B環、C環の三重の環があることがわかっています。この環の幅は、約65,000kmもありますが、厚さは、数100mと薄いために、地球が土星の環の真横の位置に来ると環が消失したように見えます。環の消失は約15年ごとにくりかえし、次回は2009年にこの現象が起こります。
パイオニアやボエジャー探査機によってC環の内側にD環が、A環の外側にE~G環が見つかり、環は、どれもレコード盤の溝のように何本ものスジ状になっていることが分かりました。
また、土星には31個の衛星がまわっていることも分かっています。一番大きな衛星は、タイタンで、太陽系で二番目に大きい衛星です。タイタンには、地球と同じ主成分の窒素の大気があり、誕生したばかりの地球とよく似ているといわれています。
1997年10月、アメリカ航空宇宙局 (NASA) が打ち上げた土星探査機カッシーニが、今年 (2004年) 6月末にようやく土星に到着します。探査機カッシーニは、土星の衛星のひとつタイタンに子探査機ホイヘンスを送り込み、大気の成分や温度、気圧などの気象観測を予定しています。