日本の近代玩具の歴史は19世紀末に始まります。西洋に学びながら、ブリキや金属、ゴムなどの新素材、ゼンマイのような新しい動力を使ったものが登場し、軍国調の玩具が子どもの間でも人気を得るようになった明治時代、アンチモニーやセルロイドが新しい素材として脚光を浴び、アルコール燃料を使用した発明玩具が誕生した大正時代、高分子科学の発達によりプラスチックが主流となり、機構的にもフリクションから電動式が一般化した戦後、新媒体のテレビの影響でマスコミ玩具が日本中を覆うようになった昭和後期、そして電子ゲーム類が隆盛を極める平成時代・・・とこの百年の間にも、玩具の世界は数度の変革を体験しています。
本展では、こうした近代玩具の歴史を踏まえながら、夏の水遊びを彩ってきた玩具や夏祭りの夜店や寺社の縁日で売られた玩具を取り上げます。
一つ目のコーナーでは、金魚や亀などを陶器やブリキ、セルロイドなどで作り、水に浮かべて遊ぶ「浮き物玩具」、水鉄砲や水ポンプに噴水遊びの玩具、ブリキのポンポン船やモーターボート、また木やセルロイド、プラスチックなどでも作られた船などを、明治・大正・昭和・平成・・・と、100年の歴史を追いながら展示します。
二つ目のコーナーでは、露店商が全国の縁日で売り歩いた木や紙、セルロイドなどの素朴で繊細な玩具の色々を、コマ、けん玉、ヨーヨー、アクセサリー、鳴り物、当て物、面、ゲーム物など、種類ごとに展示します。
駄菓子屋の玩具と同じように、祭りの日の露店や縁日に並ぶ玩具は、一般の玩具店の玩具とは流通の経路も違い、子どもの小遣い銭で買える程度の価格で、小さく、壊れやすいものばかりでしたが、どれもが子どもの興味関心に添う要素を持っていました。昔懐かしい縁日玩具も大集合します。