文革集結・改革開放以来、中国美術界を牽引してきた四川・西南地方の画家達。何故内陸部に住む彼らが一目置かれてきたのか—
1970年の終わりから1980年初めにかけて、四川、重慶を中心とした西南地方で「傷痕美術(傷痕リアリズム)、「郷土絵画」主義が出現し、中国美術の中心地、北京や上海をはじめ中国全土に一大センセーショナルを起しました。
それまで主流だった文革の美化表現に対し、文革時代の農村下放生活、経済高度成長期の農村の人々をありのままに描く表現は当時非常に斬新であり、また「生きることへの想い」、「素朴さ」を込めた情感溢れる描写は、人々に大きな感動と共感を与えました。以来、時代と共に表現を変えながらも、四川の絵画精神は30年経った今も脈々と受け継がれています。
「写実主義」という意味のほかに、「ありのままの現実を描写するリアルな視点」という意味を込めて今回の展覧会名となりました。三峡ダム開発、北京オリンピックと経済発展、四川大地震等を経験し、彼らの作品にまた新たな変化が見え始めています。歴史の1ページをリアルに映した四川美術の今にどうぞご注目下さい。