恒例となった世界報道写真展が今年も東京都写真美術館で開催されます。前年に世界中で撮影された報道写真を対象にした世界報道写真コンテストが毎年、オランダのアムステルダムで開催され、今年は125の国と地域、約5700人の写真家が10万8千点を超える作品の応募がありました。応募点数は昨年の 10万1960点を上回り過去最高を記録しています。
コンテストの結果、今年の世界報道写真大賞には、南アフリカの女性写真家ジョディ・ビーバー氏がアフガニスタン人の女性を撮影したポートレイトが選ばれました。女性の名前はビビ・アイシャさんといい、夫による暴力から逃れて実家にいたところを反政府武装勢力タリバーンによって強制的に、逃亡の罪で刑を宣告され、夫によって鼻と耳を切り落とされる「罰」を受けました。アイシャさんはその後、援助機関と米軍によって保護され、現在はカウンセリングと再生手術を受けた米国で暮らしています。撮影にあたってビーバー氏は「尊厳に満ちた女性を撮りたかった」と述べています。
大賞を含め、今年は9部門でのべ56人が入賞を果たしました。世界報道写真展2011は4月のアムステルダムを皮切りに、東京都写真美術館を含む45の国と地域、約100都市を約1年をかけて巡回します。
残念ながら日本からは入賞者はいませんでしたが、「自然」の部には北海道の白鳥が組写真で登場するほか、フォト・エージェンシーである株式会社アフロの青木紘二さんがスポーツ部門の1次審査の審査員を務められました。ワールドカップや冬季五輪も開催された 2010年、スポーツ部門の入賞作品も大いに見応えがある出品ラインナップです。