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    レポート
    特別展「京都 大報恩寺 快慶・定慶のみほとけ」
    東京国立博物館 | 東京都
    慶派の名品、ふたたび
    昨年開催された奈良国立博物館の「快慶」展東京国立博物館の「運慶」展に続き、慶派の名品がずらり。千本釈迦堂・大報恩寺(京都)が誇る鎌倉彫刻の優品を紹介する展覧会が、東京国立博物館で開催中です。
    重要文化財《六観音菩薩像》肥後定慶作 鎌倉時代・貞応3年(1224)大報恩寺 (左手前から)《千手観音菩薩立像》 / 《馬頭観音菩薩立像》 / 《十一面観音菩薩立像》
    (左から)《洛中洛外図屛風(模本)》中村三之丞他筆 江戸時代・17世紀 東京国立博物館(原本:室町時代・16世紀) / 《北野社頭図》狩野松栄筆 室町時代・16世紀 常盤山文庫
    《北野経王堂図扇面》室町時代・16世紀
    重要文化財《傅大士坐像および二童子立像》院隆作 室町時代・応永25年(1418)大報恩寺
    重要文化財《誕生釈迦仏立像》鎌倉時代・13世紀 大報恩寺
    重要文化財《十大弟子立像》快慶作 鎌倉時代・13世紀 (左から)《舎利弗立像》 / 《迦旃延立像》 / 《阿那律立像》 / 重要文化財《釈迦如来坐像》行快作 鎌倉時代・13世紀 いずれも大報恩寺
    重要文化財《十大弟子立像》快慶作 鎌倉時代・13世紀 (左から)《舎利弗立像》 / 《阿那律立像》 いずれも大報恩寺
    重要文化財《六観音菩薩像》肥後定慶作 鎌倉時代・貞応3年(1224) (左から)《准胝観音菩薩立像》 / 《如意輪観音菩薩坐像》 いずれも大報恩寺
    《地蔵菩薩立像》鎌倉時代・13世紀 大報恩寺
    大報恩寺が2020年に開創800年を迎える事を記念して開催される本展。秘仏の本尊《釈迦如来坐像》をはじめ《十大弟子立像》、《六観音菩薩像》と(いずれも重要文化財)、慶派の手による美しい仏像の展示がメインです。

    大報恩寺が発願された1220年は、運慶・快慶ともに晩年期。運慶は1223年に死去、快慶も1227年には亡くなっており、今回展示される《十大弟子立像》は、快慶最晩年の名作になります。

    現在は異なりますが、当初は《釈迦如来坐像》を囲むように《十大弟子立像》が安置されていました。展覧会では往時をイメージし、両者を同じ空間で展示しています。

    《釈迦如来坐像》は行快の作。快慶の筆頭弟子にあたる行快は、近年、作例が相次いで判明しています。快慶没後に制作された《釈迦如来坐像》は、行快の代表作です。

    《十大弟子立像》を手掛けた快慶は、像高三尺前後の「三尺阿弥陀」を数多く制作するなど、様式を極めた作風が特徴ですが、《十大弟子立像》は実に写実的。モデルがいるかのような存在感です。

    ただ《十大弟子立像》の中でも特に個性的な4軀は、運慶系統の作品とする見方もあります。



    会場最後には《六観音菩薩像》が登場。運慶の弟子である肥後定慶が手掛けたもので、重要文化財に指定される唯一の六観音像です。

    肥後定慶の立体を構成する能力は、師匠の運慶譲り。加えて、近くで見ると(露出展示なので、かなり近寄れます)、細部の表現力にも長けている事が良くわかります。

    《六観音菩薩像》は、会期後半に光背が外されます。前半は神々しい姿で、後半はいつもは見られない美しい後姿が鑑賞可能。どちらを見るか、迷うところです。

    今年の秋は、東京の美術館で仏像展が目白押し。鎌倉仏像は本展、平安時代の仏像は「京都・醍醐寺」展(サントリー美術館)、時代を問わず楽しめる「仏像の姿」(三井記念美術館)と、仏像好きにはたまらないシーズンになりました。

    なお本展と同時期に、平成館 特別第1・2室では「マルセル・デュシャンと日本美術」が開催されていますが、チケットは別となります。ご注意ください(セット券もあります)。

    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2018年10月1日 ]

    究極の美仏 運慶と快慶究極の美仏 運慶と快慶

    エイ出版社編集部 (編集)

    エイ出版社
    ¥ 1,620

    料金一般当日:1,400円
     → チケットのお求めはお出かけ前にicon

     
    会場
    東京国立博物館 平成館 特別第3・4室
    会期
    2018年10月2日(火)~12月9日(日)
    会期終了
    開館時間
    9:30~18:00
    ※総合文化展は17:00まで
    ※時期により変動あり
    いずれも入館は閉館の30分前まで
    休館日
    月曜日(ただし10月8日(月・祝)は開館)、10月9日(火)
    住所
    東京都台東区上野公園13-9
    電話 03-5777-8600(ハローダイヤル)
    公式サイト https://artexhibition.jp/kaikei-jokei2018/
    料金
    一般 1,400(1,200)円 / 大学生 1,000(800)円 / 高校生 800(600)円 / 中学生以下 無料

    ※( )内は前売りおよび20名以上の団体料金
    ※前売券は、東京国立博物館正門チケット売場(窓口、開館日のみ、閉館の30分前まで)、展覧会公式サイト、各種プレイガイドで、2018年10月1日(月)まで販売。
    ※同時開催の特別展「マルセル・デュシャンと日本美術」(2018年10月2日(火)~2018年12月9日(日))は別途観覧料が必要です。
    ※障がい者とその介護者一名は無料(要証明)

    「マルセル・デュシャンと日本美術」との2展セット観覧料金
    一般 2,000(1,800)円
    ※( )内は前売り料金
    ※2展セット券は、東京国立博物館正門チケット売場(窓口、開館日のみ、閉館の30分前まで)、展覧会公式サイト、ローソンチケット[Lコード:31493]、セブンチケットほかで、2展セット前売券は2018年10月1日(月)まで販売
    展覧会詳細 特別展「京都 大報恩寺 快慶・定慶のみほとけ」 詳細情報
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