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    レポート
    オルセー美術館特別企画 ピエール・ボナール展
    国立新美術館 | 東京都
    再評価が高まる、ナビ派の巨匠
    19世紀末から20世紀前半にかけて活躍したピエール・ボナール(1867-1947)。ナビ派の一員として出発し、20世紀には鮮烈な色彩の絵画を多数描きました。オルセー美術館が所蔵するコレクションを中心に、130点超のボナール作品を紹介する大規模な回顧展が、国立新美術館で開催中です。
    《黄昏(クロッケーの試合)》1892年 オルセー美術館
    (左から)《作曲家クロード・テラスと二人の息子》1902-03年頃 / 《木立の馬と少女たち あるいは クリシー広場》1894-95年頃 ともにオルセー美術館
    (左から)《浴盤にしゃがむ裸婦》1918年 オルセー美術館 / 《浴室の裸婦》1907年 新潟市美術館
    (左から)《化粧》1925年 個人蔵 / 《青い手袋をはめた裸婦》1916年 オルセー美術館 / 《化粧室 あるいは バラ色の化粧室》1914-21年 オルセー美術館
    (左から)《逆光の女性の頭部 あるいは 帽子をかぶった逆光の少女の肖像》1906年 / 《桟敷席》1908年 ともにオルセー美術館
    (左から)《静物、開いた窓、トルーヴィル》1934年頃 アサヒビール大山崎山荘美術館 / 《静物:皿と果物 あるいは 桃を盛った鉢》1921年 オルセー美術館 / 《猫と女性 あるいは 餌をねだる猫》1912年頃 オルセー美術館
    《ボート遊び》1907年 オルセー美術館
    (左から)《水の戯れ あるいは 旅》1906-10年 / 《歓び》1906-10年 ともにオルセー美術館
    《夏》1917年 マルグリット&エメ・マーグ財団美術館、サン=ポール・ド・ヴァンス
    近年、再評価の動きが高まるナビ派。オルセー美術館でも2015年にピエール・ボナール展が開催され、51万人を動員。これは、2014年のゴッホ展に次いで歴代企画展入場者数2位という記録でした。日本でも昨年、三菱一号館美術館で「オルセーのナビ派展:美の預言者たち ―ささやきとざわめき」が開催され、好評を博しています。

    ボナール作品のみで構成される本展は、1章「日本かぶれのナビ」から。1888年に結成されたナビ派。1890年にパリで開催された「日本の版画(日本の巨匠たち)展」に衝撃を受けたボナールは、明確な輪郭線や遠近表現など、浮世絵由来の手法を積極的に導入。「日本かぶれのナビ」と言われるようになります。

    2章「ナビ派時代のグラフィック・アート」。ボナールは1889年にポスターのコンクールで入賞。ボナールが芸術の道に進む事を反対していた父も、この一件でようやく認める事となりました。ボナールはポスターや本の挿絵を数多く制作。トゥールーズ=ロートレックにも大きな影響を与えています。

    3章「スナップショット」。かなり早い時期から写真に興味を示していたボナール。1898年にコダックが蛇腹式ポケットカメラを発表すると、発売と同時に入手したほどです。多くの作品のモデルになった妻・マルトの写真などが並びます。



    4章「近代の水の精たち」。ボナールの作品にしばしば見られる、浴室と裸婦の組み合わせ。神経障害の治療のため、何度も入浴を繰り返したマルト。そしてマルトとの結婚後、浴槽で手首を切って自死したとされるボナールの愛人・ルネ。「水」と「裸婦」の関係は、ボナールにとって特別な意味を持っています。

    5章「室内と静物『芸術作品 ─ 時間の静止』」。親密な室内空間を描き続けたボナール。展覧会メインビジュアルの《猫と女性 あるいは 餌をねだる猫》も、モデルはマルトです。静かな画面に、身を乗り出した猫。テーブルの上の魚を狙っているのでしょうか。

    6章「ノルマンディーやその他の風景」。1912年、パリの西方にあたるノルマンディー地域圏のヴェルノンに、家を買ったボナール。窓やテラス越しにセーヌ川が広がり、庭には野生の植物が生い茂るこの家で、多くの作品を描いています。

    7章「終わりなき夏」。1909年にボナールは南仏・サン=トロペに長期滞在しました。異なる風景はこの画家を刺激し、その後、コート・ダジュールを毎年のように訪れる事となります。輝く色彩に満ちた作品は、この地で見出したものです。

    生涯の伴侶であるマルトをはじめ、身近な主題を描き続けたボナール。画家のプライベートを辿れるような、充実した内容の展覧会です。日本におけるボナール単独の展覧会は、2004年以来。巡回はせず、国立新美術館だけでの開催となります。

    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2018年9月25日 ]

    もっと知りたいボナール 生涯と作品もっと知りたいボナール 生涯と作品

    高橋 明也 (著), 島本 英明 (著)

    東京美術
    ¥ 2,160

    料金一般当日:1,600円
     → チケットのお求めはお出かけ前にicon

     
    会場
    会期
    2018年9月26日(水)~12月17日(月)
    会期終了
    開館時間
    <企画展>
    10:00~18:00
    ※当面の間、夜間開館は行いません。
    ※入場は閉館の30分前まで
    <公募展>
    10:00~18:00
    ※美術団体によって、異なる場合があります。
    ※入場は閉館の30分前まで
    休館日
    火曜日
    住所
    東京都港区六本木7-22-2
    電話 03-5777-8600(ハローダイヤル)
    公式サイト http://bonnard2018.exhn.jp
    料金
    一般 1,600(1,400)円 / 大学生 1,200(1,000)円 / 高校生 800(600)円

    ※( )内は前売券および20名以上の団体料金
    ※中学生以下は無料
    ※団体券は国立新美術館でのみ販売(団体料金の適用は20名以上)
    ※障がい者手帳をご持参の方(付き添いの方1名を含む)は無料
    ※11月14日(水)~11月26日(月)は高校生無料観覧日(学生証の提示が必要)
    ※前売券販売期間:2018年7月4日(水)~9月25日(火)各プレイガイドで販売
    展覧会詳細 オルセー美術館特別企画 ピエール・ボナール展 詳細情報
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