インターネットミュージアム
美術館・博物館・イベント・展覧会 インターネットミュージアム
  インターネットミュージアム  >  取材レポート  >  没後400年 雲谷等顔展

没後400年 雲谷等顔展

■「雪舟の後継」だけではありません
【会期終了】 桃山画壇で活躍した絵師、雲谷等顔(うんこくとうがん:1547-1618)。西国の有力大名・毛利輝元に庇護され、画聖・雪舟の後継者とされた実力者は、今年でちょうど没後400年です。記念の展覧会が、ゆかりの山口で開催中です。
日本の美術史において特別な存在といえる、雪舟等楊(1420-1506?)。作品が何百年も“美の規範”とされ、その存在が神格化するほどの絵師は、現代に至るまで雪舟ただひとりです。

雪舟の後継者として位置付けられるのが、同じ山口で活躍した雲谷等顔です。長谷川等伯は弟子筋と家系から「雪舟五代」を自称しましたが、等顔は毛利輝元から雪舟の《四季山水図巻(山水長巻)》(国宝、山口・毛利博物館)と、雪舟の旧宅・雲谷庵を拝領しており、いわば「お墨付き」といえます。

ただ等顔は、単なる(というのも不遜ですが)「雪舟の後継者」だけではありません。展覧会では雪舟流の山水画だけでなく、あまり知られていない作品も紹介し、等顔の全体像を俯瞰します。

会場は水墨画の代表作から。山口・萩を拠点に、京都の禅宗寺院や江戸藩邸の障壁画など、広く活躍した等顔。工房で制作するスタイルは、画業の初期に学んだ狩野派での経験から。さらに次男の等益を二代目とする、雲谷派の形成につながりました。

本展注目のひとつが、初公開の着色花鳥画《孔雀牡月図扉風》。ほとんど知られていなかった大画面の花鳥画です。三年前に山口市内の寺院で発見され、修復を経てお披露目となりました。

細部を見ると、牡丹の構図や彩色方法は中国絵画から、孔雀は狩野派から。等顔自身は中国に渡った事はありませんが、禅寺との関連から中国絵画を学ぶ機会があり、独自の作品を結実させたのです。



展覧会では史料も紹介して、等顔の実像に迫ります。武家出身で、茶の湯や連歌などの素養を身に付けていた等顔。絵師だけではなく、毛利輝元の御伽衆(おとぎしゅう)、すなわち文化面を補佐するアドバイザーでもありました。

輝元の慶賀の席で、重臣が居並ぶ中、他の御伽衆とともに同席しており、重用されていた事も分かります。

多様な作品を手掛けた等顔ですが、傑作が多いのは、やはり山水画。「雪舟の後継」という位置付けから、顧客からも雪舟に倣った山水画を求められていたと思われます。

展覧会では、現存する最初期の作品として佛通寺(広島・三原市)の障壁画を紹介。画題や表現に、狩野派の要素が残っています。

等顔の水墨山水画は「真体・行体・草体」と、具象から抽象まで巧み。これまであまり研究が進んでいなかった行体・草体の山水画についても取り上げています。

同時代の狩野永徳、海北友松らに比べると、知名度でやや分が悪い雲谷等顔。永徳なら獅子、友松は龍という十八番に対し、雲谷等顔の白眉は山水画。折り紙付きの実力者ながら、視覚的なインパクトの差で割を食っている感は残念です。

展覧会は巡回せず、山口県立美術館のみでの開催。首都圏の方もぜひ、お楽しみください。

山口県立美術館は、本展の会期中に入館者700万人を達成。コレクション展では修理を終えた雪舟《山水図巻》(重要文化財)や、香月泰男のシベリアシリーズも展示されています。素晴らしい五重塔(国宝)がある瑠璃光寺も、徒歩で20分弱。紅葉が見ごろです。

※会期中に展示替えがあります。

[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2018年11月7日 ]

るるぶ山口 萩 下関 門司港 津和野’19るるぶ山口 萩 下関 門司港 津和野’19

 

ジェイティビィパブリッシング
¥ 972

 
会場山口県立美術館
開催期間2018年11月1日(木)~12月9日(日)
所在地 山口県山口市亀山町3-1
TEL : 083-925-7788
HP : http://yma-togan.com/
展覧会詳細へ 没後400年 雲谷等顔展 詳細情報
取材レポート
森アーツセンターギャラリー「新・北斎展 HOKUSAI UPDATED」
新・北斎展
東京都美術館「奇想の系譜展 江戸絵画ミラクルワールド」
奇想の系譜展
世田谷文学館「ヒグチユウコ展 CIRCUS(サーカス)」
ヒグチユウコ展
サントリー美術館「河鍋暁斎 その手に描けぬものなし」
河鍋暁斎
埼玉県立近代美術館「インポッシブル・アーキテクチャー」
インポッシブル
東京国立近代美術館「イメージコレクター・杉浦非水展」
杉浦非水展
太田記念美術館「小原古邨」
小原古邨
出光美術館「染付 ― 世界に花咲く青のうつわ」
染付
原美術館「「ソフィ カル ― 限局性激痛」原美術館コレクションより」
ソフィ カル
静嘉堂文庫美術館「岩﨑家のお雛さまと御所人形」
岩﨑家のお雛さま
国立新美術館「イケムラレイコ 土と星 Our Planet」
イケムラレイコ
アーツ前橋「闇に刻む光 アジアの木版画運動 1930s-2010s」
闇に刻む光
ポーラ美術館「モダン美人誕生-岡田三郎助と近代のよそおい」
モダン美人誕生
国立科学博物館「明治150年記念 日本を変えた千の技術博」
千の技術博
パナソニック 汐留ミュージアム「子どものための建築と空間展」
建築と空間展
静岡市美術館「起点としての80年代」
起点としての80年代
21_21 DESIGN SIGHT「民藝 MINGEI -Another Kind of Art展」
「民藝」展
岡田美術館「開館5周年記念展 美のスターたち ―光琳・若冲・北斎・汝窯など名品勢ぞろい―」
美のスターたち
大阪市立美術館「フェルメール展」
[エリアレポート]
フェルメール展
横浜美術館「イサム・ノグチと長谷川三郎 ― 変わるものと変わらざるもの」
[エリアレポート]
イサム・ノグチ
あべのハルカス美術館「驚異の超絶技巧!明治工芸から現代アートへ」
[エリアレポート]
驚異の超絶技巧!
すみだ北斎美術館「北斎アニマルズ」
[エリアレポート]
北斎アニマルズ
たばこと塩の博物館「江戸の園芸熱」
[エリアレポート]
江戸の園芸熱
京都国立近代美術館「世紀末ウィーンのグラフィック」
[エリアレポート]
世紀末ウィーン
第3回 インターネットミュージアム検定
ミュージアグッズのオンラインショップ ミュコレ
2019年の展覧会予定(東京・名古屋・大阪 近郊)
皇室がご覧になった展覧会 博物館・美術館の情報
テレビでミュージアム 博物館・美術館の情報
エリアレポート(読者による取材記事) 博物館・美術館の情報
ニュース
一覧
東日本大震災・ミュージアム関連情報サイト MUSEUM ACTION
イベント検索ランキング
新・北斎展 HOKUSAI UPDATED フェルメール展 顔真卿 王羲之を超えた名筆 アルヴァ・アアルト もうひとつの自然
奇想の系譜展 江戸絵画ミラクルワールド ゴッホ展 北斎アニマルズ イメージコレクター・杉浦非水展
博物館・美術館検索
ミュージアム干支コレクションアワード 干支コレクションアワード「猪」
グランプリは「ペッカリー(ヘソイノシシ)象形土偶」でした
ミュージアムキャラクターアワード2018 ミュージアムキャラクターアワード
2018、グランプリは
「雷切丸くん」でした
人気の展覧会 ブログパーツ アクセス数が多い展覧会を地域別にご紹介、ご自由にどうぞ。
刀剣乱舞(とうらぶ)に登場する刀たち 「刀剣乱舞-ONLINE-」に実装された刀、IM取材分をまとめました。
パートナーサイト 関連リンク集

             

博物館、美術館、展覧会の情報登録
博物館、美術館、展覧会に最適。広告のお問い合わせ
インターネットミュージアムへのお問い合わせ

Copyright(C)1996-2019 Internet Museum Office. All Rights Reserved.
ミュージアム・博物館・美術館の情報サイト[インターネットミュージアム]は、丹青グループが運営しています
協力/ (株)丹青研究所 、編集・制作/ (株)丹青社