インターネットミュージアム
美術館・博物館・イベント・展覧会 インターネットミュージアム
  インターネットミュージアム  >  取材レポート  >  没後90年記念 岸田劉生展

没後90年記念 岸田劉生展

■全国から名作が集結
【会期終了】 愛娘・麗子を描いた肖像画で知られる岸田劉生(1891-1929)。日本の近代美術がフランス近代美術の追随に明け暮れる中、ただひとり自らの価値判断を貫いて、絵画を進化させ続けていきました。没後90年を記念した大回顧展が、東京ステーションギャラリーで開催中です。
印象に残る作品で、人気の岸田劉生。展覧会も幾度となく開かれ、2014年の「岸田吟香・劉生・麗子 知られざる精神の系譜」展(世田谷美術館など)は、この項でもご紹介しました。

今回の展覧会は、ほぼ年代順の構成。劉生は次々に作風が変化しましたが、順路を追って見ていく事で、その過程が理解できる、という狙いです。

劉生は東京生まれ、父は実業家の岸田吟香です。14歳でキリスト教の洗礼を受け、熱心に教会に通いました。

絵画は黒田清輝に師事し、洋画を研鑽。早くも2年後には白馬会展と文展に初入選するなど、頭角を表します。

ただ、21歳でキリスト教から離れ、享楽的な生活に。アカデミックな画法にも疑問を抱いていた頃、雑誌「白樺」でゴッホやゴーギャンなど後期印象派(ポスト印象派)に衝撃を受けます。

この頃の作品は、鮮烈な色彩と大胆な筆致。白樺の文学者と親しく交友し、真の芸術家としての生き方も学んだのもこの時期です。

1912年には、後に妻となる蓁(しげる)と出会います。恋愛関係が進む中で生きた人間を慕う心が深まった劉生は、写実的な肖像を量産。「首狩り劉生」の異名をとりました。

一方で、西洋古典絵画も研究。妻を聖なる女性に見立てるなど、深淵な精神性を創作に取り入れた作品も描いています。



1913年に代々木に転居してからは写生に出かけ、風景画を積極的に製作。重要文化財の《道路と土手と塀(切通之写生)》は、人間の営みと自然の力が同居する、風景画の傑作と評されています。

肺病と診断されてからは、戸外での制作を断念して静物画にシフト。壺やリンゴをモチーフに、絵画としての完成度を追及していきます。

1919年頃からは、水彩や素描も手がけるように。軽やかな表現で「内なる美」を追及しました。1919年から21年頃まで、愛娘の麗子と近くに住む村娘の於松を、集中的に描いています。

さらに、初めて京都を訪問して以降は、東洋の美に開眼。当初は、麗子の肖像画でも着物と洋装を描くなど、東洋・西洋は区別していませんでしたが、徐々に西洋に対する東洋の美の優位性を意識するようになります。

現実的で露骨な西洋美術に対し、神秘的で無為な東洋美術こそ、美の深い境地があると結論づけ、制作の中心も日本画が主体に。1923年には「陶雅堂(塘芽堂)」の画号で、日本画家として活動します。

1926年に京都から鎌倉に移住すると、武者小路実篤の働きかけもあり、再び洋画を手掛けるように。1929年には満州に渡って意欲的な作品を描きます。

ただ、帰国直後、逗留中の山口で腎炎に尿毒症を併発させて急死。わずか38歳でした。

没後90周年の記念展という事もあり「珠玉の劉生展」を目指した本展。初期から最晩年まで、全国各地から名作ばかりが揃いました。この規模の劉生展は、没後100年展まで実現が難しいと思われます。

東京展の後は山口・名古屋に巡回します。会場と会期はこちらです。

[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2019年8月29日 ]

まるごと東京ステーションギャラリーまるごと東京ステーションギャラリー

東京ステーションギャラリー (監修)

東京美術
¥ 2,160

 
会場東京ステーションギャラリー
開催期間2019年8月31日(土)~10月20日(日)
所在地 東京都千代田区丸の内1-9-1 JR東京駅 丸の内北口 改札前
TEL : 03-3212-2485
HP : http://www.ejrcf.or.jp/gallery/
展覧会詳細へ 没後90年記念 岸田劉生展 詳細情報
取材レポート
国立科学博物館「特別展 ミイラ ~ 「永遠の命」を求めて」
特別展 ミイラ
町田市立国際版画美術館「美人画の時代―春信から歌麿、そして清方へ―」
美人画の時代
横浜美術館「オランジュリー美術館コレクション
オランジュリー
五島美術館「特別展 美意識のトランジション ─ 十六から十七世紀にかけての東アジアの書画工芸 ─」
美のトランジション
東京都美術館「コートールド美術館展 魅惑の印象派」'
コートールド美術館
国立歴史民俗博物館「ハワイ:日本人移民の150年と憧れの島のなりたち」
ハワイ:日本人移民
上野の森美術館「ゴッホ展」'
ゴッホ展
神奈川県立近代美術館
ふたたびの「近代」
Bunkamura
リヒテンシュタイン
森アーツセンターギャラリー「バスキア展
バスキア
パナソニック汐留美術館「ラウル・デュフィ展 絵画とテキスタイル・デザイン」'
デュフィ
国立西洋美術館「ハプスブルク展
ハプスブルク展
東京国立博物館「正倉院の世界
正倉院の世界
国立新美術館「カルティエ、時の結晶」
カルティエ
福田美術館「開館記念 福美コレクション展」
福田美術館 開館
東京富士美術館「フランス絵画の精華」
フランス絵画の精華
三井記念美術館「茶の湯名椀『高麗茶碗』」'
高麗茶碗
寺田倉庫「STAR WARS™ Identities: The Exhibition」
スター・ウォーズ
エリアレポート 秋田県立美術館 「特別展 キスリング展 エコール・ド・パリの巨匠」
[エリアレポート]
キスリング
ハラ ミュージアムアーク「加藤泉 ― LIKE A ROLLING SNOWBALL」
加藤泉
エリアレポート MIHO MUSEUM「The 備前 ―土と炎から生まれる造形美―」
[エリアレポート]
The 備前
エリアレポート 岡山芸術交流2019 「IF THE SNAKEもし蛇が」
[エリアレポート]
岡山芸術交流
エリアレポート 国立科学博物館「風景の科学展 芸術と科学の融合」
[エリアレポート]
風景の科学展
エリアレポート 横尾忠則現代美術館「横尾忠則 自我自損展」
[エリアレポート]
横尾忠則 自我自損
エリアレポート 中之島香雪美術館 「交流の軌跡―初期洋風画から輸出漆器まで」
[エリアレポート]
交流の軌跡
エリアレポート 県立神奈川近代文学館 特別展「中島敦展 ― 魅せられた旅人の短い生涯」
[エリアレポート]
中島敦
エリアレポート 東京オペラシティ アートギャラリー「カミーユ・アンロ 蛇を踏む」
[エリアレポート]
カミーユ・アンロ
第3回 インターネットミュージアム検定
B-OWND 工芸のマーケットプレイスミュージアグッズのオンラインショップ ミュコレ
2020年の展覧会予定(東京・名古屋・大阪 近郊)
2019年の展覧会予定(東京・名古屋・大阪 近郊)
皇室がご覧になった展覧会 博物館・美術館の情報
テレビでミュージアム 博物館・美術館の情報
エリアレポート(読者による取材記事) 博物館・美術館の情報
ニュース
一覧
東日本大震災・ミュージアム関連情報サイト MUSEUM ACTION
イベント検索ランキング
ゴッホ展 ハプスブルク展−600年にわたる帝国コレクションの歴史 特別展 ミイラ ~ 「永遠の命」を求めて 御即位記念特別展「正倉院の世界 ― 皇室がまもり伝えた美 ―」
カラヴァッジョ展 ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道 建国300年 ヨーロッパの宝石箱リヒテンシュタイン 侯爵家の至宝展 ラウル・デュフィ展 ― 絵画とテキスタイル・デザイン ―
博物館・美術館検索
ミュージアムキャラクターアワード2018 ミュージアムキャラクターアワード
2019、グランプリは「つくぞう&つくみ」でした
ミュージアム干支コレクションアワード 干支コレクションアワード「猪」
グランプリは「ペッカリー(ヘソイノシシ)象形土偶」でした
人気の展覧会 ブログパーツ アクセス数が多い展覧会を地域別にご紹介、ご自由にどうぞ。
刀剣乱舞(とうらぶ)に登場する刀たち 「刀剣乱舞-ONLINE-」に実装された刀、IM取材分をまとめました。
パートナーサイト 関連リンク集

             

博物館、美術館、展覧会の情報登録
博物館、美術館、展覧会に最適。広告のお問い合わせ
インターネットミュージアムへのお問い合わせ

Copyright(C)1996-2019 Internet Museum Office. All Rights Reserved.
ミュージアム・博物館・美術館の情報サイト[インターネットミュージアム]は、丹青グループが運営しています
協力/ (株)丹青研究所 、編集・制作/ (株)丹青社