
国立西洋美術館「博物館浴🄬」実証実験の様子
2025年10月20日、上野にある国立西洋美術館で「博物館浴🄬(はくぶつかんよく)」のパイロット実証実験が行われた。
「博物館浴🄬」は、森林浴や海水浴のように、博物館での作品鑑賞を通じて心身の健康を促進することを目的とした取り組み。ミュージアムのもつ空間や作品の癒しの力を、健康増進や疾病予防、ウェルビーイングの向上に役立てようとするもので、九州産業大学 地域共創学部の緒方泉特任教授が提唱している。
今回の実験には午前午後58名が参加し、国立西洋美術館の常設展示室(新館1階)で作品鑑賞前後の、自律神経の状態を測定。測定は、①文章を読み上げた際の声の揺らぎによる脳の疲労度、自律神経のバランス、②指先の血流を通じた心拍および自律神経のバランス、③腕に装着した機器による脈波測定から自律神経のバランスの3パターンで実施。それぞれ専用機器を用いて取得したデータは匿名化のうえ記録され、研究素材として保存される。
また、今回初めて東京大学先端技術研究センターの協力を得て、展示室内での人流調査を実施。参加者の鑑賞パターン、滞在時間、移動軌跡などを調べた。
国立西洋美術館では、これまでにも2024年6月24日、7月8日、2025年3月31日に実証実験を実施。対象者には大学生、会社員、育児休業から復職した人、高齢者など、さまざまな背景をもつ人々が含まれており、多角的なデータ分析から「博物館浴」の多様な効果の検証が期待されている。
緒方教授は、こうした活動を通じて、博物館が「健康・ウェルビーイング」の場として新たな価値をもつ可能性を見出しており、今後の展開にも注目が集まる。

国立西洋美術館「博物館浴®」実証実験(測定①)

国立西洋美術館「博物館浴🄬」実証実験(測定②)

国立西洋美術館「博物館浴🄬」実証実験(測定③)

「博物館浴🄬」のロゴマーク

「博物館浴🄬」「国立西洋美術館で博物館浴をしよう!」のチラシ