
ブライアン・イーノといえば「U2、デヴィット・ボウイ、コールドプレイなどのアルバムを手掛けた歴史的プロデューサー」、「アンビエント・ミュージック(環境音楽)の第一人者」、「Windows95の起動音を制作した」または「環境問題などに取り組む社会的活動家」と多彩な活動を展開し、20世紀の私たちの生活、カルチャー面に大きな影響をもたらしています。

《Light Boxes》展示風景
またイーノはビジュアルアートのパイオニアでもあります。2006年ラフォーレ原宿で世界初公開された《77 Million Paintings》はアップデートを繰り返しながら巡回するなど、光と映像を使った創作作品は世界を魅了しています。

会場となる京都信用金庫 厚生センターはJR京都駅から歩いて約5分
16年ぶりの日本での展示となった《77 Million Paintings》をはじめ、《The ship》《Light Boxes》、世界初公開の《Face to Face》が一堂に会す大規模展が京都で始まりました。築90年の京都中央信用金庫 厚生センターの建物全体を使った展示は、足を踏み入れた瞬間から非日常へと誘われます。

《Face to Face》展示風景

《77Million Paintings》会場風景

《77Million Paintings》会場風景
“Visual Music”(ヴィジュアル・ミュージック)界の代表作《77 Million Paintings》は、音と光が途切れることなく変化するインスタレーションです。靴を脱ぎ展示場に入ると大きなスクリーンが飛び込んできます。枝をカットした跡のある木の柱、ソファが数台。前方には小さな砂が盛られ、そこにはライトが当てられています。環境問題に取り組む彼の思想を表現しているのでしょうか。
「77Million(77000万)」はシステムが生み出すことのできるヴィジュアル数。意味を知ればスクリーンに映し出される映像は、鑑賞者にとって一期一会といえるかもしれません。映像はゆっくりゆっくりと静かな変化を続けています。長い時間、スクリーンを見ていても決して飽きることがないということにも驚かされます。イーノが生み出す音楽、光が体に染み込んでいくかのよう、いや、自分自身が彼の世界に溶けていくようなそんな感覚を味わいます。

会場には現代盆栽家の作品も

イーノにメッセージを綴ってみては
4か所に分かれた展示室だけではなく、建物全体に《The Lighthouse》(日本初公開)が流れています。展示室から展示室への移動間も、イーノの世界観から覚めることなく時間を過ごすことができます。 会場入口で配布されるリーフレットの裏面にはこんな言葉が書かれています。
『ありきたりな日常を手放し、別の世界に身を委ねることで、自分の想像力を自由に発揮することができるのです。 ―――ブライアン・イーノ』

階ごとにある展示室

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[ 取材・撮影・文:カワタユカリ / 2022年6月2日 ]
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