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    レポート
    スイス プチ・パレ美術館展
    SOMPO美術館 | 東京都
    プチ・パレ美術館から珠玉の油彩画が来日、フランス近代絵画の流れを総覧
    印象派からエコール・ド・パリまで、6章構成でそれぞれの絵画動向を解説
    同館は1998年から休館中。日本では約30年ぶりに傑作を鑑賞できる機会です

    スイスのジュネーヴにあるプチ・パレ美術館。プチ・パレ美術館は、19世紀後半から20世紀前半のフランス近代絵画を中心とした、豊富なコレクションには定評があります。

    同館の38名の画家による油彩画65点で、印象派からエコール・ド・パリに至るフランス近代絵画の流れを辿る展覧会が、SOMPO美術館で開催中です。



    SOMPO美術館「印象派からエコール・ド・パリへ スイス プチ・パレ美術館展」


    展覧会は6章構成で、第1章「印象派」から。日常生活に基づく主題を屋外で描くことで、絵画の歴史に偉大な足跡を残した印象派。線描とデッサンを捨て、単色による細かな筆致に専念しました。

    《詩人アリス・ヴァリエール=メルツバッハの肖像》は、ルノワール晩年の作品です。ルノワールは当初はあまり乗り気でなかったものの、女性の美しい髪に惹かれて、肖像画の依頼を引き受けたとされています。



    オーギュスト・ルノワール《詩人アリス・ヴァリエール=メルツバッハの肖像》1913年


    第2章は「新印象派」。因習的なサロンへの反発は強くなり、1884年に独立芸術家協会が設立。無審査で作品を発表できる、アンデパンダン展が開催されました。同展には、ジョルジュ・スーラやポール・シニャックなど、後に新印象派で活躍する画家も出展しています。

    アンリ=エドモン・クロスも、アンデパンダン展の創設に携わったひとり。南仏のサン=クレールではシニャックと画架を並べて、コート・ダジュールの楽園的な風景を描きました。



    アンリ=エドモン・クロス《遠出する人》1894年


    第3章「ナビ派とポン=タヴァン派」。フランス北部のポン=タヴァンという小さな村に滞在したポール・ゴーギャンと、その周辺にいたエミール・ベルナールなどの若い画家がポン=タヴァン派。ゴーギャンから助言を受けたポール・セリュジエが、友人のモーリス・ドニらに声をかけて結成されたグループが、ナビ派です。

    ドニはブルターニュの海沿いの景観を好みました。《ペロス=ギレックの海水浴場》では、海岸で憩う人々を、古典美術のような裸体像で表現しています。



    モーリス・ドニ《ペロス=ギレックの海水浴場》1924年


    第4章は「新印象派からフォーヴィスムまで」。1905年のサロン・ドートンヌで、若い画家たちによる、大胆な筆遣いと鮮やかな色彩の絵画がひとつの展示室に集められ、「フォーヴ(野獣)の織」のようだと評されたのが、フォーヴィスムの由来です。

    デュフィはフォーヴィスムのマティスから影響を受けましたが、後にフォーヴィスムから離れていきました。



    ラウル・デュフィ《マルセイユの市場》1903年


    第5章は「フォーヴィスムからキュビスムまで」。1907年にピカソが描いた《アヴィニョンの娘たち》で誕生したキュビスム。対象を複数の視点からとらえ、それらを組み合わせて描くことで、絵画で現実を構築することを提唱しました。

    ジャンヌ・リジ=ルソーは、当初はナビ派でしたが、20世紀初頭にキュビスムに転向しました。



    ジャンヌ・リジ=ルソー《白い胸あて》1911年


    最後の第6章は「ポスト印象派とエコール・ド・パリ」。ふたつの大戦の間のパリで活躍した芸術家のなかで、特定の芸術運動に属さず、明確な芸術上の主義や信条をたてない画家たちをエコール・ド・パリと呼びます。

    ユトリロは、エコール・ド・パリを代表する画家のひとりです。《ノートル=ダム》は、黒い輪郭線で正面から見た大聖堂を描き、立体感を強調しています。



    モーリス・ユトリロ《ノートル=ダム》1917年


    プチ・パレ美術館は1998年に休館して以降、現在も一般には公開されていないので、その作品は現地でも見ることができません。貴重な作品をじっくり鑑賞できるまたとない機会です。

    フランス近代絵画の重要な美術運動を網羅した、教科書のような展覧会です。

    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2022年7月12日 ]

    (左手前)ルイ・ヴァルタ《マキシムにて》1895年
    モーリス・ドニ《休暇中の宿題》1906年
    ジャン・メッツァンジェ《スフィンクス》1920年
    テオフィル=アレクサンドル・スタンラン《猫と一緒の母と子》1885年
    フェリックス・ヴァロットン《身繕い》1911年
    シュザンヌ・ヴァラドン《暴かれた未来、あるいはカード占いの女》1912年
    ジョルジュ・ボッティーニ《バーで待つサラ・ベルナールの肖像》1907年
    モイズ・キスリング《サン=トロペのシエスタ》1916年
    会場
    SOMPO美術館
    会期
    2022年7月13日(水)〜10月10日(月)
    もうすぐ終了[あと4日]
    開館時間
    10:00 - 18:00
    (入館は閉館30分前まで)
    休館日
    月曜日 ※ ただし7/18、9/19、10/10は開館
    住所
    〒160-8338 東京都新宿区西新宿1-26-1
    電話 050-5541-8600(ハローダイヤル)
    公式サイト https://www.sompo-museum.org/
    料金
    当日券
    一般 1,600円
    大学生 1,100円
    小中高校生 無料
    障がい者手帳をお持ちの方 無料

    事前購入券
    一般 1,500円
    大学生 1,000円
    小中高校生 無料
    障がい者手帳をお持ちの方 無料

    ※スイス プチ・パレ美術館展より日時指定予約は不要となりました。
    展覧会詳細 スイス プチ・パレ美術館展 詳細情報
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