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    レポート
    生誕三百年 同い年の天才絵師 若冲と蕪村
    サントリー美術館 | 東京都
    大作屏風は東京初登場
    1716年、江戸では将軍が7代家継から8代吉宗に、元号が正徳から享保に変わったこの年に、京都と大阪でふたりの天才絵師が生まれました。今年は数えでちょうど生誕300年、代表作・新出作を揃えた展覧会です。
    (左から)与謝蕪村 筆《山水図屛風》天明2年(1782) MIHO MUSEUM / 伊藤若冲 筆《象と鯨図屛風》寛政9年(1797) MIHO MUSEUM ※ともに全会期展示
    (左から)伊藤若冲 筆《糸瓜群虫図》細見美術館 / 伊藤若冲 筆《紫陽花白鶏図》 / 伊藤若冲 筆《雪中雄鶏図》細見美術館 ※すべて4/13まで展示
    (左から)与謝蕪村 筆《田楽茶屋図屛風》 / 与謝蕪村 筆 非心義覚 賛《寒山図》 ※ともに4/6まで展示
    (左から)与謝蕪村 筆《山水花鳥人物図》明和7年(1770) ※4/6まで展示 / 与謝蕪村 筆《黄石公・王猛図》 ※4/13まで展示 / 与謝蕪村 筆《維摩・龍・虎図》宝暦10年(1760) 滋賀・五村別院 ※4/6まで展示
    (右)与謝蕪村 筆《飲中八仙図屛風》 ※4/6まで展示
    (左から)沈銓 筆《柘榴群禽図》乾隆14年(1749) / 佚山 筆《鶴・孔雀図》 / 佚山 筆《群鶴図》 / 与謝蕪村 筆《枯木叭々鳥図》 / 沈銓 筆《草花群禽(叭々鳥)図》乾隆15年(1750) /  ※すべて4/6まで展示
    (左から)伊藤若冲 筆 伯珣照浩 賛《猿猴摘桃図》 ※4/13まで展示 / 伯珣照浩 筆《「革叟」偈頌》安永2年(1773) ※4/13まで展示 / 鶴亭 筆 慈周(六如) 賛《蘭石図》安永5年(1776) ※4/16まで展示
    (左から)与謝蕪村 筆《蜀桟道図》LING SHENG PTE. LTD / 重要文化財 与謝蕪村 筆《鳶 ・ 鴉図》北村美術館 / 伊藤若冲 筆《果蔬涅槃図》京都国立博物館 ※すべて4/13まで展示
    (左から)与謝蕪村 筆《老松図屛風》天明元年(1781) ※4/6まで展示 / 与謝蕪村 筆《薄に鹿図》愛知県美術館(木村定三コレクション) ※4/13まで展示 / 伊藤若冲 筆《六歌仙図》寛政5年(1793) 愛知県美術館(木村定三コレクション) ※4/6まで展示
    尾形光琳が亡くなった年でもある1716年。江戸画壇にとってはターニングポイントの年ともいえます。

    伊藤若冲は、京都の青物問屋生まれ。いつから絵を習いはじめたのかはっきりしませんが、40歳で隠居してからは制作に没頭しました。

    対する与謝蕪村は、摂津(大阪)の農家生まれ。江戸で俳諧を学び、いったん僧侶に(後に還俗しました)。36歳以降には本格的に絵を描きはじめています。


    第一展示室入口から

    展覧会のメインはもちろん若冲と蕪村の作品ですが、この時代の日本美術を語る上で、中国絵画からの影響を外す事はできません。若冲は元明代の中国絵画に学び、蕪村もまた明清代の中国絵画を意識していたようです。

    1731年には清から沈銓(沈南蘋)が渡来。ふたりが16~17歳の時に長崎に滞在した沈銓は、精緻で華麗な彩色画を描き、硬直化していた江戸時代の画壇に新風を吹き込みました。

    宝暦年間に描かれたふたりの作品からは、沈南蘋からの影響も明らか。会場には中国・朝鮮画や、同時代の長崎派の絵画も並びます。


    第5章「中国・挑戦絵画からの影響」

    展覧会の目玉といえるのが、伊藤若冲《象と鯨図屛風》。吹き抜けホールに展示されています。陸の王者と海の王者を、大胆なフォルムで描いた作品です。隣の与謝蕪村《山水図屛風》とともにMIHO MUSEUMの所蔵。前者は2009年、後者は2008年に同館で初公開されましたが、東京には初お目見えとなります。

    蕪村は晩年に若冲が住む京都・四条烏丸に転居。かなり近くに住んでいたものの、今のところ二人が直接交わった記録は見つかっていません。ただ、池大雅や丸山応挙など共通の知人がいたため、なんらかの交流はあったのかもしれません。


    第2展示室と、第6章「隣り合う若冲と蕪村 ─ 交差する交友関係」

    晩年になっても力強く制作を続けたふたり。若冲は「米斗翁」、蕪村は「夜半翁」「謝寅」という画号を用い、充実した作品を数多く残しています。

    蕪村は1784年、68歳で死去。若冲は1800年、85歳で死去。蕪村は45歳頃結婚して一人娘をもうけましたが、若冲は生涯独身でした。


    第7章「翁の時代」

    会期が細かく6期に分かれている本展。《象と鯨図屛風》は全期間展示ですが他は大きく変わりますので、公式サイトでご確認の上、お出かけください。

    東京展の後は、MIHO MUSEUM(7月4日~8月30日)に巡回します。
    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2015年3月17日 ]

    Pen(ペン) 2015年 4/1 号 [若冲を見よ] Pen(ペン) 2015年 4/1 号 [若冲を見よ]

     

    CCCメディアハウス
    ¥ 720

    料金一般当日:1,300円
     → チケットのお求めはお出かけ前にicon

     
    会場
    会期
    2015年3月18日(水)~5月10日(日)
    会期終了
    開館時間
    10:00~18:00
    休館日
    火曜日休館 
    住所
    東京都港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウン ガレリア3F
    電話 03-3479-8600
    公式サイト http://suntory.jp/SMA/
    料金
    一般1300円、大高生1000円、中学生以下無料
    展覧会詳細 生誕三百年 同い年の天才絵師 若冲と蕪村 詳細情報
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