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    レポート
    ルオーとフォーヴの陶磁器
    パナソニック汐留美術館 | 東京都
    知られざる陶芸家と画家の交流
    マティス、ヴラマンク、ルオーが陶器の絵付けを、とある陶工のもとで同時期に行っていたことはあまり多くの人が知らない事実。装飾芸術の関心が高まる1900年代初頭に生まれたコラボレーションを紹介する展覧会が、パナソニック 汐留ミュージアムではじまりました。
    左から)《筒型花瓶 水浴の女たちと人物群像》個人蔵(ルオー財団協力)、《花瓶 水浴の女たち》パナソニック 汐留ミュージアム蔵、《花瓶 三人の裸婦》出光美術館、《水差し 人物》パリ市立近代美術館、全てジョルジュ・ルオー/アンドレ・メテ
    アンドレ・メテ《陶器下絵》個人蔵
    右から)アンドレ・メテ《花瓶 樹と鳥》ブロ・コレクション、アンドレ・メテ《花瓶 メダイヨンに鳥》パリ市立プティ・パレ美術館
    植物や動物、幾何学模様が描かれたカップアンドソーサー。すべてアンドレ・メテ、ブロ・コレクション
    第2章 展示風景
    左から)ピエール・ラプラード/アンドレ・メテ《花瓶 横たわる女、花づなと葉》パリ市立プティ・パレ美術館、ピエール・ラプラード《バラを持つ婦人》ポーラ美術館
    右)ジョルジュ・ルオー/アンドレ・メテ《陶板 水浴の女たち》個人蔵(ルオー財団協力)
    裸婦を描いたティーセット
    左から)ジョルジュ・ルオー《後ろ向きの裸婦》パナソニック汐留ミュージアム、ジョルジュ・ルオー《プロ夫妻Ⅱまたは風俗の習作》出光美術館(5/12まで展示)
    アンドレ・メテは1871年生まれ。陶磁器作家として20世紀前半に活躍しました。本展ではフォーヴの画家との共同制作をメインに取り上げていますが、メテが単独で制作した作品も、当時は大変高い評価を受けています。


    会場入口から

    展覧会の最初は、メテが自身で手がけた作品の紹介から。幾何学模様と植物の組み合わせや、人物や動物などの模様が華やかな作品が並びます。また、陶器の絵付けのための下書きや型紙など、メテの緻密な仕事ぶりが伺える資料にも注目です。


    メテのデザイン下絵と施釉陶器

    メテは1906年頃から画商ヴォラールの手引きでフォーヴの画家たちと出会い、共同制作を開始します。第2章の入り口では、素焼きした皿に絵付けするファイアンスと呼ばれる陶磁器の制作工程が、プロジェクションマッピングで紹介されています。


    スペースプレーヤー映像「ファイアンス─陶工メテ×フォーヴの画家のコラボレーション」

    陶器の制作は絵画とは全く違う専門的な技術が必要なため、容易に手を出せない分野。画家たちにとってもメテとの共同制作は大変有意義なものとなりました。装飾的な幾何学模様や、裸婦、植物などを描いた陶磁器が並びます。

    ただ、この共同作業は長くは続きませんでした。1907年以降その交流は活発さを失います。そして1910年のセーヌ川氾濫によってメテの窯が損壊してしたことで、フォーヴの画家たちとの共同制作は終焉を迎えます。


    第2章展示風景

    メテが最も長く付き合った画家がルオーでした。フォーヴの画家たちがメテの工房を離れた以後も、ルオーはメテとの共同制作をつづけました。ルオーとメテは同じ年の生まれで、父親同士が同じ会社で働いていたことなどもあり、出会ってすぐ意気投合。親交を深めました。会場には、道化師などのルオーらしいテーマを扱った陶磁器が展示されています。


    第3章展示風景

    二人の共同制作は1913年に終わります。しかしルオーは、装飾的な表現やマチエールの追及など、メテとの陶器制作のなかで得た成果を、今度は自らの絵画で表現して行く事となります。常設のルオーギャラリーではその一端を見ることができます。

    日本初公開作品や、世界初公開作品などの貴重な作品が多く、巡回はありません。お見逃しなく。
    [ 取材・撮影・文:川田千沙 / 2015年4月10日 ]

    TOKYO美術館2015-2016 TOKYO美術館2015-2016


    エイ出版社
    ¥ 999

     
    会場
    会期
    2015年4月11日(土)~2015年6月21日(日)
    会期終了
    開館時間
    10:00~18:00(入館は17:30まで)
    休館日
    毎週水曜日(但し4月29日、5月6日は開館)
    住所
    東京都港区東新橋1-5-1 パナソニック東京汐留ビル4階
    電話 03-5777-8600(ハローダイヤル)
    公式サイト http://panasonic.co.jp/es/museum/exhibition/15/150411/
    料金
    一般 1,000円/65歳以上 900円/大学生 700円/中・高校生 500円/小学生以下:無料
    ※20名以上の団体は100円割引
    障がい者手帳をご提示の方、および付添者1名まで無料でご入館いただけます。
    展覧会詳細 「ルオーとフォーヴの陶磁器」 詳細情報
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