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    レポート
    アール・ヌーヴォーの装飾磁器
    三井記念美術館 | 東京都
    ヨーロッパ名窯の挑戦
    19世紀末から20世紀初頭にかけて隆盛したアール・ヌーヴォー。セーヴル、ロイヤル・コペンハーゲン、マイセンなどヨーロッパの名窯が生み出した多彩な作品を紹介する展覧会が、三井記念美術館で開催中です。
    KPMベルリン《上絵金彩エジプト女性センターピース》1902年 岐阜県現代陶芸美術館蔵
    (右)セーヴル《パツィオパット秋明菊文飾壺》1899年 ロムドシン蔵
    ビング&グレンダール《釉下彩鷺センターピース》1902-1914年 塩川コレクション
    (左奥から)セーヴル《パツィオパット花文花瓶》1908年 個人蔵 / セーヴル《上絵マーガレット文花瓶》1905年 (有)セレスト
    (左から)ビング&グレンダール《釉下彩クリスマスローズ文ポプリポット》1914年 塩川コレクション / ビング&グレンダール《釉下彩紫陽花文ポプリポット》1913年 塩川コレクション
    (左から)加藤繁十(二代)《釉下彩菊文花瓶》19世紀末 塩川コレクション / 加藤友太郎《釉下彩菖蒲鯉図花瓶》20世紀初頭 岐阜県現代陶芸美術館
    (左から)ローゼンタール《釉下彩ダチョウに乗る女性像》1918年 ロムドシン / ローゼンタール《釉下彩クワガタ花瓶》1920年 塩川コレクション / ローゼンタール《釉下彩クワガタ飾皿》1912年 塩川コレクション
    (左から)ローゼンブルフ《上絵花図コーヒーポット》1903年 岐阜県現代陶芸美術館 / ローゼンブルフ《上絵花に昆虫図手付花瓶》1902年 個人蔵(藤岡氏)
    (左奥から)セーヴル《銅紅釉花瓶》1895年 塩川コレクション / セーヴル《銅紅釉蓋付壺》1887年 個人蔵(藤岡氏)
    「アール・ヌーヴォー」と聞いて、ごく普通の人が思い付くのはアルフォンス・ミュシャのポスターや、エミール・ガレのガラス器など。「アール・ヌーヴォーの陶磁器」は、これまであまり紹介されませんでした。

    会場は、和のイメージが強い三井記念美術館。一昨年に開館以来はじめて「デミタスコスモス」展が開催されましたが、それ以来2度目の西洋美術展となります。

    会場冒頭は「ベストセレクション」として、厳選した作品を紹介。三井記念美術館ならではの贅沢な空間が、アール・ヌーヴォーの陶磁器を引き立てます。


    展示室1~2は「ベストセレクション」

    展覧会は5章構成、まずはフランスの名窯、セーヴルからです。創業以来、輝かしい歴史を歩み、現在でもヨーロッパを代表する窯のセーヴルですが、19世紀後半は時代の変化に対応仕切れず、苦戦を強いられていました。

    改革に乗り出したセーブルが導入したのが、新硬質磁器。従来に比べて加飾の際の制約が少ない素材に、上絵付などで華やかな装飾を加えて、1900年のパリ万国博覧会に出品。「アール・ヌーヴォーの勝利」と謳われたこの世紀末の大博覧会において、華麗なる復活を遂げました。


    第1章 フランス名窯の復活 ~フランス セーヴル~

    アール・ヌーヴォーの陶磁器において、技術的な特徴といえるのが釉下彩(ゆうかさい)です。釉薬の下に描くこの技法は耐久性に優れるとともに、しっとりとした質感は独特の仕上がりを生み出しました。

    いち早く釉下彩を用いた作品を1889年のパリ万博に発表したのは、デンマークのロイヤル・コペンハーゲンです。同じくデンマークのビング&グレンダールは彫塑的な作品を制作。スウェーデンのロールストランド、ノルウェーのポルシュグルンも釉下彩を用いて、魅力的な作品を数多く作っています。


    第2章 釉下彩の先駆者 ~北欧・ロイヤル・コペンハーゲン、ビング&グレンダール、ロールストランド、ポルシュグルン~

    ヨーロッパの名窯を紹介する企画ですが、第3章は日本で作られた陶磁器。アール・ヌーヴォーは東洋美術の影響を受けた様式ですが、1900年のパリ万博を経て、日本にも逆輸入されました。

    前述した釉下彩の研究も、ヨーロッパだけではなく日本でも進んでいました。研究を牽引したのが、お雇い外国人のドイツ人化学者、ゴットフリート・ワグネル。ワグネルの指導の下、日本でも釉下彩の絵付け表現は飛躍的に発展し、いわば「日本のアール・ヌーヴォー磁器」ともいえる一群が生れています。


    第3章 東洋のアール・ヌーヴォー ~日本~

    フランスのセーブルが称賛された1900年のパリ万博ですが、逆に辛酸をなめたのが、ドイツのKPMベルリンやマイセン。前代の歴史主義的な作品を展示し、時代の波を掴めなかったのです。ただ、製作の現場は意欲的で、その後は再び飛躍する事に成功しています。またオランダのローゼンブルフはこの万博で磁器を初出品。フォルムと絵付けは注目を集めています。

    西洋陶磁を新たな段階に引き上げた技術として、窯変釉や結晶釉もあげられます。もともと中国陶磁に見られたもので、西欧の各窯で競うように技術開発。予測不能な変化を生ずる窯変釉、釉薬のなかで花が咲いたような結晶釉と、中国陶磁とは異なるスタイルで表現が進化していきました。


    第4章 新たなる挑戦者 ~ドイツ・オランダ KPMベルリン、マイセン、ニュンフェンブルク、ローゼンタール、ローゼンブルフ~ / 第5章 もう一つのアール・ヌーヴォー 釉薬の妙技 ~結晶釉、窯変釉~

    ちょうどこの時期にはサントリー美術館でも「オルセー美術館特別協力 生誕170周年 エミール・ガレ」が開催中。半券提示で300円引きのタイアップ企画も行われています(他の割引との併用は不可)。この夏は2つの展覧会でアール・ヌーヴォーに浸ってください。

    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2016年7月5日 ]



    ■アール・ヌーヴォーの装飾磁器 に関するツイート


     
    会場
    会期
    2016年7月6日(水)~8月31日(水)
    会期終了
    開館時間
    11:00~16:00(入館は15:30まで)
    ※2020年7月1日から当面の間、開館時間短縮
    休館日
    月曜日、7月19日(火)。但し、7月18日(月・祝)、8月15日(月)は開館。
    住所
    東京都中央区日本橋室町二丁目1番1号 三井本館7階
    電話 03-5777-8600 (ハローダイヤル)
    公式サイト http://www.mitsui-museum.jp/
    料金
    一般 1,300(1,100)円/大学・高校生 800(700)円/中学生以下無料
    ※()内は20名以上の団体料金
    ※70歳以上の方(要証明)は1,000円
    展覧会詳細 アール・ヌーヴォーの装飾磁器 詳細情報
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