出雲国出身の野見宿禰は、相撲の始祖として知られていますが、『日本書紀』には野見宿禰が殉死を改め、人や馬などの「土物(はにもの)」をつくらせて墓に立てたとする、埴輪の起源説話がみえます。この逸話は、考古学的な事実と必ずしも一致するものではありませんが、出雲の地と埴輪の間に浅からぬ縁があると考えることもできるでしょう。また埴輪の存在は、古代の人々にとっても大きな関心事であったことがうかがえます。
古墳上に埴輪を立て並べる習慣は、前方後円墳が全国的に築造されはじめるのにあわせて各地に広まりました。出雲地方では古墳時代前期末(4世紀の終わり頃)、最初の埴輪が登場します。この頃の埴輪は、古墳上や周囲に並べて区画したり飾ったりする意味合いが強く、形も筒状に作られた円筒埴輪など比較的シンプルなものでした。しかし時代を経て埴輪の役割はより複雑になっていきます。武器や儀式に使う道具を模したものや、家を模った埴輪の登場は、古墳に葬られた力を象徴的に示すものだったと考えられます。
古墳時代後期には、古墳の一角を区切り、多彩な埴輪を並べ、被葬者の生前の活躍や首長継承のまつりを再現するようになります。馬や鶏などの動物や、様々な装いの人物を模った埴輪は、より表情豊で個性的なものとなりました。
本展では山陰地方出土の形象埴輪を中心に、人物や動物をかたどった様々な埴輪を展示します。制作時期や地域毎の特徴や違いといった考古学的な点だけでなく、個々の埴輪が持つ造形としての面白さにも注目してください。とぼけた表情や、絶妙にデフォルメされた姿など、ちょっと気になるチャームポイントがきっと見つかるはずです。もしかすると、身近なあの人に似た埴輪があるかもしれません。
さあ、この夏はハニワの世界を探検してみましょう。