第60回 正倉院展

    奈良国立博物館 | 奈良県

     工芸品でまず注目されるのは白瑠璃碗です。これは現在のイラン・ギラーン州で製作されたと推定されるササン朝ペルシアのガラス器で、正倉院宝物中でももっとも遠方からもたらされた品に入ります。このほか、全面に精緻な文様を彫刻した彫刻尺八、鏡背を螺鈿による花文様で埋め尽くした平螺鈿背八角鏡、鏡背に山水と人物、鳥獣文を鋳出した山水人物鳥獣背円鏡、木画細工が見事な紫檀木画双六局、貴重な材をふんだんに使用した黒柿両面厨子などが出陳されます。また、蘇芳地金銀絵箱など献物に用いられた箱や机にも工芸的に優れた品を数多くみることができます。  佩飾品は腰帯から下げられた腰飾りのことで、紫皮裁文珠玉飾刺繍羅帯残欠といった美しい細工の帯のほか、犀角魚形や水精玉、瑪瑙玉などの装身具が出陳されます。佩飾品は唐の官人の装いでしたが、それが奈良時代の貴人たちのおしゃれとして取り入れられました。  天蓋は仏菩薩や貴人の頭上に掲げられた傘のことで、宝庫には木製の骨とそれに張られた布が伝わっています。今回はその中から灌頂天蓋骨や方形天蓋などが出陳されます。古代における天蓋の実際の姿を伝える貴重な品々です。これにあわせ、風鐸である金銅鎮鐸や珍しい金属製の幡である金銅幡なども出陳され、奈良時代の寺院の荘厳の様子を見ることができます。  このほか、思わず笑みを誘われる椰子実、貂のミイラである虹龍、ヤコウガイの殻である螺殻といった異色の宝物が出陳されることも特筆されます。また、文書類には税や書籍などに関わる公式文書をはじめ、写経所の記録などを見ることができ、奈良時代の社会について理解を深めていただくことができると思います。
    会期
    2008年10月25日(土)〜11月10日(月)
    会期終了
    開館時間
    9:30~17:00(入館は16:30まで)
    毎週土曜日は20:00まで(入館は19:30まで)
    料金
    一般:1000円(900円/700円)、高校・大学生:700円(600円/500円)、小・中学生:400円(300円/200円) ※( )内は前売り及び20名以上の団体/オータムレイト ※オータムレイトは、閉館の1時間30分前以降に販売する当日券の料金です。(販売は当館当日券販売のみ) オータムレイトチケットの購入者には、記念品として、昭和21年開催の「正倉院展特別展観」(第1回正倉院展にあたります)の復刻版チケットを進呈します。 ※障害者手帳をお持ちの方(介護者同数を含む)は無料です。 ※この展覧料金にて平常展もご覧になれます。
    会場
    奈良国立博物館
    住所
    〒630-8213 奈良県奈良市登大路町50
    050-5542-8600(ハローダイヤル)
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