1920年、イギリス人陶芸家バーナード・リーチは、後に栃木県益子を作陶拠点とする濱田庄司とともに、イギリス南西部の港町セントアイヴス(St. Ives)に渡り、東洋風の登り窯を築きました。1922年に工房として独立した「リーチポタリー(Leach Pottery)」は、その後多くの優れた陶芸家を輩出し、イギリス現代陶芸の礎となります。また、今日までにイギリス国内外のさまざまな陶芸家が学び、陶芸を介した国際的な交流を深めています。
本展では、リーチポタリーを訪ねて学んだ三人の日本人陶芸家に焦点を当てます。島根県松江で代々続く布志名焼の窯元に生まれ、表情豊かに模様を施したスリップウェアや中世の英国陶器に触発された力強い作品を残した舩木研兒(1927〜2015)。兵庫県篠山で丹波立杭焼の伝統を踏襲しながら現代的な造形を追求し、リーチポタリーでは現地の陶芸家たちとも親交を深めた市野茂良(1942〜2011)。そして濱田庄司の三男として父の仕事を身近で学び、イギリスで触れた陶芸を彷彿とさせる魅力的な普段使いの器を手がけた濱田篤哉(1931〜86)。各々の作品からは、三者三様に異国の陶芸文化を受容し、その後の活動を展開させた様子がうかがえます。
当館の新収蔵作品に、国内美術館や個人のコレクションなどをあわせて、総計約70点を展覧します。さらに、ジャネット・リーチやリチャード・バターハムなど、リーチポタリーにゆかりのある欧米の陶芸家の作品を同時に紹介します。特に近年関心が高まっているスリップウェアの技法をはじめ、日本の風土と伝統に溶け込んだ英国陶芸の薫りをお楽しみください。