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あなたの肖像 ― 工藤哲巳回顧展

■目を背けたら、狙い通り。
【会期終了】 蝋でつくった人の顔をアイロンで溶かして潰す、切腹パフォーマンスをする、男根状オブジェを抱えて踊る…。「反芸術」を代表する工藤哲巳(くどうてつみ 1935~1990)の回顧展が、東京国立近代美術館で開催中です。
青森県立美術館国立国際美術館東京都現代美術館京都国立近代美術館奈良県立美術館…国内はもとより、海外でもアムステルダム市立美術館、ゲント現代美術館、ポンピドゥ・センター(パリ)、ニューヨーク近代美術館など、実に多くの美術館で作品を見ることができる工藤哲巳。

近年はフランスやアメリカでも大規模な回顧展が開催されるなど、没後20年を超えてさらにその活動に注目が高まっています。

ただ、工藤はパリの生活が長かったこともあり、作品を目にする機会に比べて、活動の全容を紹介する展覧会は少なかったのも事実。特に東京では今回が初めての大回顧展となります。


会場

工藤の作品は、一言でいえば挑発的。グロテスクな作品も多く、一見するだけで拒否感を覚える人もいるかもしれません。

ただ、実はそれも工藤の狙いどおりです。作品は「コミュニケーションのだし」と言う工藤は、自らの作品を見せることで鑑賞者の反応や応答を引き出し、作家の世界観との交流を促そうとしているのです。


挑発的な作品の数々

本展で約半世紀ぶりに展示されるのが、《インポ分布図とその飽和部分に於ける保護ドームの発生》。1962年の第14回読売アンデパンダン展に出品され、赤瀬川原平は「最大傑作」と賞賛しました。

出品料さえ払えば、誰でも参加できた読売アンデパンダン展。作品が大型化する中で、出品料が"1点いくら"から"壁面1mいくら"に変わったことを逆手にとり、高い出品料を払うことで展示室全体を合法的に占有しました。

男根状のオブジェの中にコッペパンがあったり、男性を侮蔑する「インポ(性的不能)」をタイトルにつけたりと、工藤ならではの暴れっぷりですが、実は用意周到に準備された作品。会場には構想段階のスケッチやメモも紹介されています。


工藤哲巳《インポ分布図とその飽和部分に於ける保護ドームの発生》と、構想段階のスケッチやメモ

鳥籠の作品は、工藤のトレードマーク的な存在です。会場の一角には、1979年に集中的に制作された鳥籠の作品が並ぶコーナーもあります。

アルコール中毒が進行し、精神的にも肉体的にも追いつめられていた工藤。鳥籠の中の人は、籠から抜ける事ができず、運命に翻弄されているかのようです。


鳥籠の作品が並ぶ

工藤はアルコール中毒の治療のため、1980年に一時入院。回復した後、80年代中ごろからはパリと日本を半年づつの生活になります。

1987年には自らの母校である東京藝術大学の教授に就任しますが、既に病魔は身体を蝕んでいました。

展覧会の最後の作品は《前衛芸術家の魂》。自らの死が近いことを悟っていたのでしょうか。喉頭癌のために1990年に死去、まだ55歳の若さでした。

圧倒的なパワーで時代を駆け抜けた工藤哲巳。会場には200点を超える作品・資料がずらりと並びます。ネットで話題の「自立する図録」も含めてお楽しみください。

国立国際美術館から始まった本展。東京展の後は、2014年4月12日(土)~6月8日(日)に青森県立美術館に巡回します。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2014年2月3日 ]


 
会場東京国立近代美術館
開催期間2014年2月4日(火)~3月30日(日)
所在地 東京都千代田区北の丸公園3-1
TEL : 03-5777-8600(ハローダイヤル)
HP : http://www.tetsumi-kudo-ex.com/
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