半世紀以上に渡り、ミュージックシーンの第一線で活躍するザ・ローリング・ストーンズ。ミック・ジャガーとキース・リチャーズは75歳、ロン・ウッドは71歳、チャーリー・ワッツは77歳と、メンバーは全員、古希を超えています。先日は北米ツアーの延期が発表されてファンを心配させましたが、またすぐに元気な姿を見せてくれる事でしょう。
展覧会は、バンド史上初めてとなる大規模な企画展。2016年4月のロンドン展を皮切りに、世界の主要都市で開催されている巡回展で、本展がアジアでは唯一の展覧会となります。
会場はTOC五反田メッセ。大きな建物を全て使い、1800㎡の展示空間に500点以上のアイテムを揃えました。会場いっぱいに、ストーンズの世界が広がります。
バンドの結成は、ブライアン・ジョーンズの呼びかけから。ミック、キース、ブライアン、イアン・スチュワート、ディック・テイラー(後にビル・ワイマンに交代)は、1962年にザ・ローリング・ストーンズとして初のライヴを行いました。
当時の彼らが住んでいたのが、ロンドン南西・チェルシー地区のフラット(アパート)。1つのベッドルームをミック、ブライアンと別のルームメイトでシェア。キースはリビングで寝ていました。キースが「ゴミ屋敷」というアパートが、会場に再現されています。
奥に進むと、ギターがずらり。キースとロニーのいわく付きの楽器のほか、ミックによる貴重な手書きの作詞ノートも展示されています。
ストーンズのシンボルでもある「ベロ・マーク」こと「Lips and Tongue」をデザインしたのは、ジョン・パッシュ。ミックが持ってきた、ヒンドゥー教の女神の切り抜きからの発想です。ミックの唇が基になっているという説については「元々はそうではなかったけれど、無意識にそうなったのかも」との事です。
ストーンズは活動の初期から、グラフィックデザインを重要視していました。ゲレッド・マンコヴィッツ、アンディ・ウォーホル、ジェフ・クーンズら一流クリエイターとコラボレーションして、時代を彩っていきました。
後半の衣裳は圧巻。マネージャーの提案で、デビュー当初は千鳥格子のテーラードジャケット(!)で揃えていましたが、ほどなく不良スタイルに変わりました。
ミックがライヴで「Sympathy for the Devil/悪魔を憐れむ歌」を歌う際の衣裳は、ライヴ映像とともに展示。問答無用のカッコ良さです。
楽屋裏を模した展示を抜けると、会場最後は3Dのライヴシアター。オフィシャルグッズ売り場も充実しています。
展覧会の公式サイトには、アンバサダーを務めるChar、鮎川誠、シシド・カフカをはじめ、多くの著名人からのコメントも。今さらですが、改めてその影響力の強さを実感します。現在進行形の伝説を、往年のファンはもちろん、若い人もぜひお楽しみください。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2019年3月14日 ]