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国立西洋美術館開館60周年記念 松方コレクション展

■日本の芸術家に本物の絵を
【会期は9/23まで】 川崎造船所(現・川崎重工業株式会社)の初代社長などを務めた実業家、松方幸次郎(1866-1950)。数々の美術品を蒐集し、本格的な西洋美術館の創設を目指しましたが、そのコレクションは流転の歴史を辿る事となります。国内外に散逸した名品を一堂に集めた展覧会が、国立西洋美術館で開催中です。
明治の元勲・松方正義の三男として生まれた松方幸次郎。1896年に川崎造船所の社長になると、第一次世界大戦の船舶需要を受けて成功し、莫大な利益を手にしました。

実は、松方自身は絵心が無いばかりか「私には絵は解らない」と公言するほど。その松方が美術品を蒐集したのは、日本の芸術家に本物の絵を見せてあげたい、という思いからでした。

コレクションを始めたのは1916年頃から。ロンドンを拠点に事業を展開したこの時期に、英国の画家フランク・ブラングィンに出会い、親しく交友しました。その作品を蒐集するとともに、松方が思い描いた「共楽美術館」のデザインもブラングィンに依頼しています。

1918年にはロダン美術館と契約。《地獄の門》をはじめ、50点を超えるロダンの彫刻作品を入手しました。今では日本人なら誰でも知っている「考える人」のポーズも、松方の活動がなければ、ほとんど知られていなかったでしょう。



1921から22年にはパリに滞在。松方コレクションは、この滞欧期に大きく飛躍します。モネのアトリエを訪れ、本人から直接作品を買い付けたのもこの時期です。

松方はパリの有名な画廊で重要な作品を次々に入手。ゴッホ《アルルの寝室》は、ローザンベール画廊で手に入れました。ゴッホならではの色彩に溢れた傑作です。

実は、松方のこの時期の渡欧は、海軍の密命でドイツの最新型潜水艦(Uボート)の設計図を入手する事が目的でした。派手な作品購入は、その隠れ蓑だったともいわれています。

世界に名を馳せた松方コレクションですが、昭和金融恐慌から第二次世界大戦という時代の荒波にのまれてしまいます。

国内の作品群は売立で散逸、ロンドンの倉庫保管分は火災で焼失、パリに残されていた作品はフランス政府に接収されてしまいました。

日仏両政府は戦後に交渉。20点はフランスに留め置かれましたが、残りの375点が「寄贈返還」されました。これを元に設立されたのが、国立西洋美術館です。

今回の展覧会の大きな目玉といえるのが、モネ《睡蓮、柳の反映》。長らく行方が分からなくなっていましたが、2016年にパリ・ルーブル美術館で発見されました。

第二次世界大戦中、作品を疎開させていた時期に、湿気や水による被害を被ったと推測されています。上部約4割が欠損するという痛々しい姿でしたが、2018年から慎重に修復。本展でお披露目となりました。

作品は、松方がモネから直接購入したものです。修復にともなう科学調査で、モネが描いたそのままの画面が残っていることも確認できました。欠損前に撮影された白黒写真を元に、推定復元されたデジタル作品は、展示室の前で紹介されています。

まさに、国立西洋美術館の開館60周年を記念するに相応しい展覧会。改めて、松方の思いに深く感謝したいと思いました。いつも常設展にある作品が別の場所に掛かっているのも、新鮮に感じました。

[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2019年6月10日 ]

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時空旅人(編)

三栄書房
¥ 929

料金一般当日:1,600円
 → チケットのお求めはお出かけ前にicon

 
会場国立西洋美術館
開催期間2019年6月11日(火)~9月23日(月・祝)
所在地 東京都台東区上野公園7-7
TEL : 03-5777-8600(ハローダイヤル)
HP : https://artexhibition.jp/matsukata2019/
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