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    レポート
    磯江毅=グスタボ・イソエ マドリード・リアリズムの異才
    練馬区立美術館 | 東京都
    磯江毅は夭折した。だが、絵は残った。
    大阪に生まれ、単身でスペインに渡って油彩による写実絵画を探求、スペイン名「グスタボ・イソエ」として成功をおさめましたが、2007年に53歳で急逝した磯江毅(いそえつよし)。初の本格的な回顧展が、練馬区立美術館で始まりました。
    「深い眠り」(部分) 1994-95年
    「鰯」 2007年
    「新聞の上の裸婦」 1993-94年
    展覧会場。手前に「新聞の上の裸婦」
    「古酒と擂り鉢」 2005年
    「古酒と擂り鉢」(部分) 2005年 ◇瓶の上に積もった埃まで、徹底的に表現しています
    「バニータスII(闘病)」 2006-07年 ◇磯江毅は2007年に53歳で死去しました
    スペインでの活躍を示す資料。メダル類も展示されていました。
    会場の練馬区美術館。会期は10月2日までと長めなので、お見逃しの無いように。
    磯江毅は1954年、大阪生まれ。大阪市立工芸高等学校を卒業後、本場で西洋美術を学びたいと志し、1974年、20歳のときに単身でスペインに渡り、以後30年余に渡って油彩による写実絵画を探求します。

    デッサン研究所や王立美術学校で学ぶかたわら、プラド美術館で模写に没頭。西洋美術の技法を着実に習得していきました。確かな技法に裏付けられた作品は徐々に注目を集めるようになり、1978年にはマドリードの由緒ある公募展で2等を受賞、1981年には当時のスペイン最大のコンクール「バルセロナ伯爵夫人賞展」で名誉賞を受賞するなど、マドリード・リアリズムの俊英画家として高い評価を確立していきます。

    展覧会場

    裸婦や静物画に現れたそのリアリズム表現は、まさに徹底的。「写真と見間違えるよう」という表面的なことだけではなく、その事物が内包している性質や、経てきた時間までも表現していく、作者の執念が伝わってくるような作品群です。本展では初期から絶作までの代表作、約80点を一堂に集めました。

    磯江は1996年には日本にもアトリエを構え、スペインと日本を行き来しながら活動するようになります。2005年には広島市立大学芸術学部の教授に就任、日本での活躍も期待されましたが、2007年に惜しくも53歳で病没してしまいました。

    数々のデッサン

    「これほど時代を超えた写実があろうか。磯江毅は夭折した。だが、絵は残った。」(作家・佐伯泰英  ─ 展覧会のフライヤーより)

    50歳になってからもマドリードの美術解剖学の講義に出席し、身体の研究を続けた磯江。徹底した研究と卓越した技術で、対象の精神に切り込んでいった稀有な画業は、色あせることがありません。
    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2011年7月12日 ]

    増補 磯江毅|写実考

    磯江毅 (著)

    美術出版社
     

     
    会場
    会期
    2011年7月12日(火)~10月2日(日)
    会期終了
    開館時間
    10:00~18:00
    ※入館は、原則として17:30まで
    休館日
    月曜日(月曜日が祝休日のときはその翌日)、年末年始、展示準備期間
    住所
    東京都練馬区貫井1-36-16
    電話 3577-1821
    公式サイト http://www.city.nerima.tokyo.jp/manabu/bunka/museum/
    展覧会詳細 「特別展 磯江毅=グスタボ・イソエ マドリード・リアリズムの異才」 詳細情報
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