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    レポート
    パリ❤グラフィック ─ ロートレックとアートになった版画・ポスター展
    三菱一号館美術館 | 東京都
    大衆にも、エリートにも。
    19世紀末のパリ。版画は芸術表現まで昇華し、質の高いポスターが大衆に浸透していく事で、生活と芸術が結び付けられていきました。当時のリトグラフやポスターを中心に約170点を紹介する展覧会が、三菱一号館美術館で開催中です。
    (左から)アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック《コーデュー》(参考出品)三菱一号館美術館 / アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック《エルドラド、アリスティド・ブリュアン》三菱一号館美術館 / アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック《アリスティド・ブリュアン、彼のキャバレー》(参考出品)三菱一号館美術館
    (左から)アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック《コンフェッティ》三菱一号館美術館 / ピエール・ボナール《「フランス=シャンパン」のためのポスター》ファン・ゴッホ美術館
    (左から)アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック《ムーラン・ルージュ、ラ・グーリュ》三菱一号館美術館 / テオフィル・アレクサンドル・スタンラン《シャ・ノワール巡業公演のためのポスター》ファン・ゴッホ美術館
    (左から)アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック《メイ・ベルフォール》三菱一号館美術館 / アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック《メイ・ミルトン》三菱一号館美術館
    (左から)ピエール・ボナール《上から見た街角(『パリ生活の小景』より)》三菱一号館美術館 / ピエール・ボナール《中庭をかこむ家(『パリ生活の小景』より)》三菱一号館美術館
    (左から)アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック《54号室の女船客》三菱一号館美術館 / アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック《ラルティザン・モデルヌ》三菱一号館美術館
    (左から)フェリックス・ヴァロットン《交響曲》三菱一号館美術館 / フェリックス・ヴァロットン《怠惰》三菱一号館美術館
    (左から)ピエール・ボナール《『ラ・ルヴュ・ブランシュ』誌のためのポスター》ファン・ゴッホ美術館 / アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック《『ラ・ルヴュ・ブランシュ』誌のためのポスター》三菱一号館美術館 / アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック《『ドイツのバビロン』》(参考出品)三菱一号館美術館
    (左上から時計回りで)溪斎英泉《夜の楼》ファン・ゴッホ美術館 / 初代歌川国貞(三代目歌川豊国)《春雨乃景》三菱一号館美術館 / 歌川国芳《見たて五行 水 うきふね》ファン・ゴッホ美術館 / 月岡芳年《団十郎七 河原崎権十郎》ファン・ゴッホ美術館 / 歌川国芳《山海愛度図会 はやくひらかせたい 備中盆岩》ファン・ゴッホ美術館 / 歌川広重《名所江戸百景 市中繁栄七夕祭》ファン・ゴッホ美術館
    もともと絵画は限られた上流階級のものでしたが、版画の進歩で様相は一変。芸術家自身も表現の手段として版画に目を付けます。

    中でも代表的な存在が口ートレック。絵画のような知的な作品から、雑誌の挿絵のような大衆芸術まで手掛け、芸術の序列は崩れていきます。

    会場で庶民向けの版画として紹介されているのが、パリの街角を彩った大衆的な版画。色彩豊かなデザインで、人々の関心を集めました。

    会場の大きな展示室では写真撮影も可能です。壁面にはモノクロ写真にロートレックの大型ポスター、美術展としては珍しくBGMも流れており、とても心地よい空間です。


    はじめに「高尚から低俗まで」、第1章「庶民向けの版画」

    ただ「版画=大衆向け」だけではありません。この時代には知的階層(エリート)向けの版画も数多く作られています。

    版画の芸術性が高まると、富裕層による版画の収集が流行。書斎で鑑賞されるので、瞑想・神秘・官能など扇情的な主題が多い事も特徴的です。暗い画面は、派手な大衆向けポスターとは対照的です。

    「版画の収集」の文脈で紹介されているのが、ファン・ゴッホの浮世絵コレクション。ゴッホは自作に浮世絵の要素を取り入れている事は良く知られています。

    会場最後には、ピエール・ボナールが挿絵を描いた官能的な詩集(ポール・ヴェルネール著『平行して』)。ファクシミリ版が露出展示されており、ページをめくって鑑賞できるのは楽しい試みです。


    第2章「知的階層向けの版画」

    展覧会はアムステルダムのファン・ゴッホ美術館と三菱一号館美術館の共同企画。両館は2014年にも「ヴァロットン展 ─ 冷たい炎の画家」を開催し(オルセー美術館との三館共同企画)、好評を博しました。

    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2017年10月17日 ]

    パリ・グラフィック: ロートレックとアートになった版画・ポスター展パリ・グラフィック: ロートレックとアートになった版画・ポスター展

    フルール・ルース・ローサ・ド カルヴァジョ (監修), Fleur Roos Rosa de Carvalho (原著)

    筑摩書房
    ¥ 2,500


    ■パリ・グラフィック に関するツイート


     
    会場
    会期
    2017年10月18日(水)~2018年1月8日(月)
    会期終了
    開館時間
    10時~18時 / 金(祝日を除く)のみ10時~20時
    ※10/5より開館時間が変更になりました。
    ※いずれも最終入館は閉館30分前まで
    休館日
    月曜休館(但し、1月8日と、「トークフリーデー」の10月30日(月)、11月27日(月)、12月25日(月)は開館) 年末年始休館:2017年12月29日~2018年1月1日
    住所
    東京都千代田区丸の内2-6-2
    電話 03-5777-8600(ハローダイヤル)
    公式サイト http://mimt.jp
    料金
    一般 1,700円/高校・大学生 1,000円/小・中学生500円
    展覧会詳細 パリ❤グラフィック ─ ロートレックとアートになった版画・ポスター展 詳細情報
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