(左から)奈良国立博物館 井上洋一 館長、高野山大学 松長潤慶 副学長(学術協力)、奈良国立博物館 斎木涼子 列品室長
弘法大師・空海(774~835)の生誕1250年を記念し、空海がもたらし、その後の日本文化に大きな影響を与えた密教のルーツを辿る展覧会が、奈良市で開催される。
空海は讃岐国生まれ。仏道に進み、延暦23年(804)に遣唐使の一員として入唐。恵果より体系的な密教を伝授された。
滞在期間を大幅に短縮して帰国した後、密教による人々の救済と護国を目指して日本の真言密教を確立。体系的な密教、護国修法などは天皇や朝廷に高く評価された。
展覧会では、現存最古の両界曼荼羅で、日本の曼荼羅の原点でもある国宝《高雄曼荼羅》を、修理後初公開。
インドで生まれた密教は陸のシルクロードを経て東方に広まったことが知られているが、本展では従来の展覧会ではあまり言及されなかった、海路による密教伝来にも着目し、東南アジアからの作品も展示する。
また会場には、国宝《五智如来坐像》(京都・安祥寺)、重要文化財《大日如来坐像》(和歌山・金剛峯寺)、重要文化財《不動明王坐像》(和歌山・正智院)など、密教の尊像が囲むダイナミックな展示空間を設定。マンダラの世界を立体的に体感できる。
生誕1250年記念特別展「空海 KŪKAI-密教のルーツとマンダラ世界」は奈良国立博物館で2024年4月13日(土)~6月9日(日)に開催。
観覧料は一般 2,000円など。一般 1,800円などの前売券の販売は2024年2月13日(火)から。
国宝《両界曼荼羅(高雄曼荼羅)》神護寺 ※記者発表より
今回の展覧会に向け、奈良国立博物館の協力で修理がなされた《金剛界曼荼羅彫像群(ガンジュク出土)のうち大日如来》10世紀 インドネシア国立中央博物館 ※記者発表より