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    レポート
    へそまがり日本美術 禅画からヘタウマまで
    府中市美術館 | 東京都
    上様、いくらなんでもこの絵では…
    「美しい術」と書いて「美術」。基本的に美術は美しいものであるはずですが、日本の美術には、昔から「そうでもないもの」もあり、なぜかそれらに魅了される事も珍しくありません。「へそまがり」な感性を楽しむ展覧会が、府中市美術館で開催中です。
    (左から)東嶺円慈《茶柄杓図》早稲田大学會津八一記念博物館 / 白隠慧鶴《布袋図》[展示期間:ともに3/16-4/14]
    (左から)狩野山雪《松に小禽・梟図》摘水軒記念文化振興財団(府中市美術館寄託) / 伊年印《寒山図》[展示期間:ともに3/16-4/14]
    (左から)遠藤曰人《蛙の相撲図》仙台市博物館 / 遠藤曰人《猫児図》仙台市博物館[展示期間:ともに3/16-4/14]
    徳川家綱《親鶏雛図》徳川記念財団[展示期間:3/16-4/14]
    (左から)伊藤若冲《福禄寿図》[全期間展示] / 長沢蘆雪《郭子儀図》個人蔵(府中市美術館寄託)[展示期間:3/16-4/14]
    (左から)児島善三郎《松》 / 村山槐多《スキと人》府中市美術館[ともに全期間展示]
    (左から)岸駒《寒山拾得図》敦賀市立博物館蔵 / 与謝蕪村《寒山拾得図》[展示期間:ともに3/16-4/14]
    (左から)祇園井特《美人図》 / 祇園井特《達磨図》奈良県立美術館[展示期間:ともに3/16-4/14]
    (左から)林閬苑《鹿図》大阪歴史博物館 / 曽我二直菴《猿図》[展示期間:ともに3/16-4/14]
    府中市美術館の恒例企画である、春の江戸絵画まつり。今回は「へそまがり」がキーワードです。

    狩野派や琳派などの「真っ当」な日本美術に対し、美しくも、立派でも、巧みでも無いにもかかわらず、なぜか心が惹かれてしまう感覚を「へそまがり」として捉え、それらの作品に正面から向き合っていく試みです。

    出品作品は江戸時代の絵画を中心に洋画やマンガも含めて、前後期あわせて138点(前期・後期それぞれ約85点)。かなりの作品ボリュームで、見応えたっぷりです。

    冒頭は禅画から。一般の人には分からない問答を「禅問答」というように、常識が通じない世界こそ、禅の境地。白隠や仙厓などの禅画は、描き方も型破りです。理解できない絵画の向こうに、別の世界を示しているようです。



    「へそまがり」を理解しやすくするために、正統な絵と、へそまがりな絵の比較展示もあります。円山応挙と、文人画家・岡田米山人の《寿老人図》が並びますが、いかにも徳がありそうな応挙に比べて、米山人はスケベジジイのよう。対照的な、福徳の神様です。

    「正統な美術を否定する」という点では、南画も該当します。職業画ではなく、エリート知識人=文人の教養として描かれた中国の南宗画に由来する、日本の南画。絵画の技法を求めない表現が好まれました。

    文人階級が無い日本の南画は、職業画家が描いているので、「職業画ではないような絵を、職業画家が描く」というのも、かなり「へそまがり」です。

    精密な鶏の描写で大人気の伊藤若冲が、あえてゆるく描いたのが伏見人形。人形の素朴さを強調するため、あえて形を崩しています。稚拙なものを愛する心は大正時代にも流行し、ルソーの素朴な作品は、日本の美術家・三岸好太郎らに強い影響を与えています。

    展覧会で最も注目されるのが、将軍の絵です。浮世絵の鳥文斎栄之や、秋田蘭画の佐竹曙山など、江戸時代には絵の才能にも秀でた武士がいましたが、徳川家光・家綱は対極的。特に家綱の鶏はひどく、手本を写したとも、写生したとも思えず、「家綱風」としかいえません。

    展覧会の最後は萬鉄五郎。重要文化財に指定さていれる作品がある近代美術の巨匠も「へそまがり」な作品があります。新たな時代を象徴する電飾看板を表現したかったのは分かりますが、派手に描いた文字は「仁丹」。意図的ではなくとも、紛れもなく「へそまがり」作品です。

    一般書籍として発売されている正方形の図録は縦横17.4センチと、本棚にやさしいコンパクトサイズ。親しみやすい文章で、楽しく見どころが解説されています。

    展覧会は前後期で大幅に展示替え。後期展にも注目作品が多数出品されますが、観覧券には2度目が半額になる割引券付き。ぜひ、前後期ともお楽しみください。

    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2019年3月26日 ]

    へそまがり日本美術 禅画からヘタウマまでへそまがり日本美術 禅画からヘタウマまで

    府中市美術館(著)

    講談社
    ¥ 2,700

     
    会場
    府中市美術館
    会期
    2019年3月16日(土)~5月12日(日)
    開館時間
    10:00~17:00(入場は16:30まで)
    ・月曜日(休日の場合はその翌日)
    ・国民の祝日の翌日(土、日および祝日にあたらない場合)
    ・年末年始
    ・展示替えの期間
    住所 東京都府中市浅間町1-3
    電話 03-5777-8600(ハローダイヤル)
    公式サイト http://fam-exhibition.com/hesoten/
    料金
    一般 700(560)円 / 高校生・大学生 350(280)円 / 小学生・中学生 150(120)円

    ※( )内は20名以上の団体料金
    ※未就学児及び障害者手帳等をお持ちの方は無料
    ※常設展もご覧いただけます
    ※府中市内の小中学生は「府中っ子学びのパスポート」で無料
    展示会詳細 へそまがり日本美術 禅画からヘタウマまで 詳細情報
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