《FAKE FUR ートラ2002ー》

この作品の応援メッセージを見る

《FAKE FUR ートラ2002ー》 大島康幸 2002年 木(楠)、着色 149.0×112.0×169.0㎝

横浜美術館


この作品は複数の木材を繋ぎ合わせる「寄木」という手法で作られています。作家の大島はそれ以前にはもっぱら寄木で人物像を制作していましたが、この作品ではその手法が動物のうすい毛皮のために用いられています。さらには木板のうえに虎の毛皮を模した彩色が施されることで、大島の言葉を使えば、毛皮ならぬ「木皮」が出来上がるのです。「木皮」の彫刻としてのある大きさと重さをもった存在感と滑らかな表面は、本物の毛皮がもつ艶めかしい毛羽立ちとはまた別のリアリティのある皮膚感覚を、見る者に呼び起こすことになるでしょう。


担当者からのコメント

ここではタイトルに注目してみたいと思います。「FAKE FUR」、これは偽物の毛皮という意味です。つまり、はじめから大島自身がこの作品は偽物です、と言ってしまっているわけです。たいてい、例えば鳥を模した作品であれば《鳥》と名付けられるはずで、それをわざわざ《偽物の鳥》なんて言い方はしないはずです。けれど、あえて大島はこの作品が「偽物」であることを強調しています。そうすることで、この作品が本物らしさではなく、偽物らしさを表現しているのだと伝えようとしているのかもしれません。偽物らしさ?それは決して本物らしさに劣るものではないでしょう。お人形遊びがときとして実際の人間社会での経験よりも豊かなこどもの想像力を育むのと同じです。偽物の虎には偽物なりの世界があるのです。本物と同じぐらいの、あるいはそれ以上の。


この作品の応援メッセージを見る
この作品に投票する
投票は締め切りました。たくさんの応援ありがとうございました。
おすすめレポート
学芸員募集
あべのハルカス美術館 学芸員募集 [近鉄不動産株式会社 あべのハルカス美術館]
大阪府
荻窪三庭園 施設管理運営スタッフ募集! [荻窪三庭園]
東京都
野田市郷土博物館・市民会館 学芸員募集 [野田市郷土博物館・市民会館]
千葉県
足立区立郷土博物館「郷土博物館専門員(民俗学)」(会計年度任用職員)の募集 [足立区立郷土博物館]
東京都
【学芸員】京都外国語大学国際文化資料館での資料整理業務スタッフ募集(経験者) [京都外国語大学国際文化資料館]
京都府
展覧会ランキング
1
国立西洋美術館 | 東京都
モネ 睡蓮のとき
開催中[あと120日]
2024年10月5日(土)〜2025年2月11日(火)
2
東京都 | 東京都
Immersive Museum TOKYO vol.3 印象派と浮世絵 ゴッホと北斎、モネと広重
開催中[あと15日]
2024年7月10日(水)〜10月29日(火)
3
サントリー美術館 | 東京都
没後300年記念 英一蝶 ―風流才子、浮き世を写す―
開催中[あと27日]
2024年9月18日(水)〜11月10日(日)
4
東京都美術館 | 東京都
田中一村展 奄美の光 魂の絵画
開催中[あと48日]
2024年9月19日(木)〜12月1日(日)
5
麻布台ヒルズ ギャラリー | 東京都
ポケモン×工芸展 ― 美とわざの大発見 ―
開催まであと18日
2024年11月1日(金)〜2025年2月2日(日)