「サロメ幻想 〜ワイルド、ビアズリーから現代作家まで」
妖精学の第一人者であり比較文学者の井村君江が館長を務める妖精美術館でサロメをテーマにしたトリビュート展を行います。
「「サロメ」はパッションの物語である。」と館長は語ります。
サロメの情熱とヨハネの受難。聖書の中の人物であったサロメがワイルドとビアズリーによって、一世紀前にひとつの物語として再構築され多くの人を魅了し現在でもオペラや演劇の新演出や解釈が行われ続けています。そのワイルドが妖精文化に根ざしたアイルランド生まれであったことは、この物語を再考していくプロセスに欠かせない要素でもあると考えられます。そこを起点として表現として再考し、現代作家に至るまでを俯瞰してみようとする試みです。
うつのみや妖精ミュージアムが所蔵するワイルドとビアズリーの初版本など貴重な資料とともに、現代作家たちがサロメと対峙した作品を展示します。
私達が芸術、文化として守っているものはその要因の一つに多様性を認め守り育むというものがあります。それは他者の生命を守る事で自身の生命を守る為のものであり、その為には相互理解への普段ない努力というものが前提となります。サロメの情熱と受難を手がかりに、今一度この相互理解の間にあるものを現代作家たちと再考していきたいと考えています。
◎出品現代作家(50音順) 愛実 Ayumi、大木美津江、小笠原勝、妃 耶八、木村龍、小峰恵子、相良つつじ、さちこ、JUMPEI TAINAKA、多賀新、T.T.Angie、戸田和子、二階健、衣、林美登利、マンタム、三浦悦子、村田英子、森園みるく、山下昇平、山村俊雄