中辻悦子(1937-)は20 代の頃より、自身の創作姿勢の象徴としての〈目〉や〈ひとのかたち〉を、
絵画、版画、立体、絵本、インスタレーション、デザインなどにより、たゆまず表現しつづけてきま
した。
生涯の伴侶である元永定正(1922-2011)を通して早くから「具体」の創作精神に触れ、お互いが共
鳴するように活動するなかで、美術家、デザイナー、画家の妻、母と、様々な顔をもつ中辻は、常に
自然体でありながら強い信念を持ち、どんなにままならないときも、時間や場所、方法を見つけ出
し、自分だけの表現を追い求めてきました。
それゆえ、中辻の生み出す作品は、研ぎ澄まされたシンプルさと普遍性を湛え、私たちみる者が社会
の一員であることで抱える矛盾を受容し、内観する時間を与えてくれます。
本展では、その起点となる1960 年代の絵画作品から最新作のインスタレーションまでを一堂に展示
し、初期のグラフィックデザインや舞台美術などの初公開資料と共に紹介します。
中辻のこれまでといま、そしてこれからをつなげる本展覧会を通して、表現したいという根源的な
思いを実現することの尊さ、作品から溢れ出る生きる喜びを感じていただけますと幸いです。
中辻悦子 略歴|
1937 大阪府泉北郡高石町(現高石市)に生まれる
1955 大阪府立三国ヶ丘高校卒業後、阪神電鉄百貨店部に入社
1957 西宮美術教室で元永定正と出会う
1959-62 阪神百貨店宣伝課で広告デザインを担当(1969-1982 復職)
1960 宝塚市で元永定正と共に生活を始める
1961 第14 回芦屋市展 日本油絵具賞受賞、 第10 回朝日広告賞 佳作入選
1962 第15 回芦屋市展 教育委員会賞・さくら賞受賞
1963 東京画廊で初個展開催、 第12 回朝日広告賞 百貨店部門賞受賞
1964 第13 回朝日広告賞 佳作入選
1966-67 元永定正に同行しニューヨークに滞在する
1978 エリック・サティ 人形のためのミニオペラ《ジュヌヴィエーヴ・ド・ブラバン》
(秋山邦晴企画・日本初演)の人形制作と舞台美術を担当(1986 再演)
1998 第12 回現代版画コンクール展(大阪府立現代美術センター主催)大賞受賞
1999 絵本《よるのようちえん》が第17 回ブラティスラヴァ世界絵本原画展グランプリ受賞
2001 平成12 年度亀高文子赤艸社賞受賞
2015 兵庫県文化賞受賞
関連イベント|
《中辻悦子 ギャラリートーク》
2022 年11 月21 日(月)14:00-15 :00
会場|展示室 定員30 名 参加無料(要観覧券)
《高橋アキ ピアノコンサート サティの森へ》
2022 年12 月12 日(月)19 :00-20 :00 (開場 18 :30)
会場|展示室 定員80 名 入場料|3,000 円(観覧券付)
曲目|ジムノペティ、グノシエンヌ、ジュ・トゥ・ヴー、最後から2 番目の思想、他を予定
《新春を愉しむ 煎茶の会》
2023 年1 月12 日(木)11:30-14:00
席主|中辻悦子
会場|神戸吉兆(BBプラザ3F) 定員16 名 参加料|6,600 円(昼食・観覧券付)
すべて予約制(先着順)
予約受付|BBプラザ美術館 E-mail bbp_museum@shimabun.co.jp / Tel.078-802-9286