1831(天保2)年正月、京都で創業した高島屋。明治という新しい時代を迎えた時、呉服店の南側に段通店(敷物用織物の店)を開店し、装飾業を始めました。日本各地に洋風建築が増えていくにつれ、窓掛(カーテン)や壁張、壁掛、椅子張など、室内装飾織物の需要がたかまったので、高島屋の装飾業は次第に軌道に乗り始めていきました。
1887(同20)年には、宮城(皇居)再建にあたり、窓掛ほか装飾織物御用を拝命。これを無事に納めると、諸官省からの御用が高島屋へ相次ぎ、東京に支店を設置する契機となりました。さらに1897(同30)年、「宮内省御用達」の認可を受けると、御用はますます拡大していきました。
そして1915(大正4)年11月、近代初の即位礼となった大正大礼に際して、調度品御用を拝命。高島屋が納めた萬歳旙(ばんざいばん)をはじめとする色とりどりの旗は、即位礼を華やかに彩りました。この経験は1928(昭和3)年11月、昭和大礼における調度品御用拝命時にも活かされることになりました。
本展では、高島屋史料館が所蔵する近代皇室の「御用裂(ごようぎれ)」見本の数々を展観します。加えて、高島屋の御用図案を手がけた図案家のひとり、中山冝一の図案集『國華』(港区立郷土歴史館蔵)を特別展示し、近代皇室の御用をつとめた高島屋の知られざる歴史をご紹介します。
※本展は会期をⅠ・Ⅱ部に分け、展示作品を一部入れ替えて構成します。
主な展示作品
・宮殿装飾裂貼交屏風 明治期(Ⅰ・Ⅱ部で展示替)
・御料車装飾裂貼交屏風 近代(Ⅰ部)
・大正大礼儀式織物貼交屏風 大正期(Ⅰ部)
・大正大礼装束織物貼交屏風 大正期(Ⅱ部)
・お好み裂貼交屏風 近代(Ⅰ・Ⅱ部で展示替)
・原在泉筆 大礼の儀図(Ⅰ部)
・大錦旙・中錦旙見本裂 近代(Ⅱ部)他(以上、高島屋史料館蔵)
・[特別展示]中山冝一『國華』(港区立郷土歴史館蔵 )