自然豊かな森に住み、絵本づくりにはげむ絵本作家どいかやさん。代表作のひとつ『チリとチリリ』は、自転車に乗って出かけたチリとチリリが森のなかで出合う不思議な体験を描いた絵本。訪れた喫茶店ではハチと一緒に「どんぐりコーヒー」と「れんげティー」をいただき、ホテルの演奏会ではほかの部屋に泊まるヘビやサル、クマたちと合唱。ページを繰るたびに思いもよらない、だけど私たちの知らないどこかにきっとありそうな、そんな世界が広がります。『ハーニャの庭で』に描かれているのは、「山のとちゅうのちいさな家」にある「ちいさな庭」の四季の移ろい。庭や周りの森にはシカが歩き、イノシシの親子が訪れ、トリが巣をつくり、そこではネコのハーニャと、たくさんの生きものたちの生活が営まれています。『トラリーヌ』シリーズはフェルト生地を用いた絵本。フェルトのやわらかな質感と色合いが、花の大好きなトラリーヌの日常をかわいらくしく描きます。
その絵本の数々は、いずれも自然に囲まれた生活を送る、どいさん自身の暮らしのなかから生まれたもの。少しずつ塗り重ねられた、やさしい筆致で描かれたあたたかな世界には、動物、植物、自然、すべての生きものたちに対する愛情や尊敬が満ちあふれています。
思わず触れたくなるような動物たちの毛並み、花や木、絵からあふれ出る魅力は、原画に出合うことでさらに増すことでしょう。