インターネットミュージアム
美術館・博物館・イベント・展覧会 インターネットミュージアム
  インターネットミュージアム  >  取材レポート  >  特別展 月岡芳年 月百姿

特別展 月岡芳年 月百姿

■最晩年に描いた集大成
【会期終了】 2カ月連続で開催されている、月岡芳年(1839-92)の企画展。第2弾は月にちなんだ物語を題材にした、最晩年の傑作「月百姿」が登場です。全100点が一挙に展示されるのは、太田記念美術館では今回が初めてです。
「月をテーマにした日本美術」なら珍しくありませんが、「月が主題の100連作」となると話は別。月岡芳年は名前に「月」の文字が入っているため、月に対して強い思い入れがあったのかもしれません。

「月百姿」が出版されたのは明治18~25年です。全100点が刊行されたのが明治25年4月、芳年が没したのは同年6月なので、文字通り最晩年の作品という事になります。

会場ではテーマで分類して4章で構成されています。第1章「麗しき女性たち」には、平安時代~江戸時代、さらに中国の女性も登場します。


第1章「麗しき女性たち」

続いて「妖怪・幽霊・神仏」。妖怪は前の展覧会「月岡芳年 妖怪百物語」でも紹介されていた芳年得意のジャンルですが、「月百姿」での妖怪は恐ろしい描写は少なめ。月が出ている夜の静寂さの表現を重視したように感じられます。

展覧会メインビジュアルの《大物海上月 弁慶》は、舳先に立つ弁慶が大波に対峙する図。本来は大波の向こうに、平家の亡霊が描かれるはずです。主役のひとつをあえて描かずポイントを絞った構成は、芳年ならではといえるでしょう。


第2章「妖怪・幽霊・神仏」

第3章は「勇ましき男性たち」。師匠の歌川国芳も武者絵が得意でしたが、芳年が描く豪傑や武将、中国の英雄も見事です。得意のストップモーションのような描写だけでなく、武将がすっと屹立する静かなイメージの作品も目をひきます。

「月百姿」では、摺りにも優れた技が用いられています。一見ではベタ塗りですが、角度を変えて絵を見ると文様が見える「正面摺り」も楽しめます。


第3章「勇ましき男性たち」

最後は「風雅・郷愁・悲哀」。「月百姿」には和歌や漢詩、そして音楽にまつわる逸話が題材になった作品が数多くあります。

「天の原 ふりさけ見れば 春日なる 三笠の山に 出し月かも」は、阿倍仲麻呂が遠く離れた奈良を想って詠んだ一首。秀吉に追放された秀次は、月明かりが差す寺で我が身の不運を嘆きました。しみじみとした情景にも、芳年の技は光ります。


第4章「風雅・郷愁・悲哀」

初期の代表作《英名二十八衆句》の強烈な印象もあり、以前は「血みどろ絵」(残酷絵・無残絵)のイメージが強かった芳年。近年では豊かな創造性が注目を集め、多くのファンに愛される存在になりました。

まさに芳年が全てを注いだ集大成といえる「月百姿」。芳年マニアからビギナーファンまで、ごゆっくりお楽しみください。

[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2017年8月31日 ]

月岡芳年 月百姿月岡芳年 月百姿

日野原 健司 (著), 太田記念美術館 (監修)

青幻舎
¥ 2,484


■月岡芳年 月百姿 に関するツイート


 
会場太田記念美術館
開催期間2017年9月1日(金)~9月24日(日)
所在地 東京都渋谷区神宮前1-10-10
TEL : 03-5777-8600
HP : http://www.ukiyoe-ota-muse.jp/
展覧会詳細へ 特別展 月岡芳年 月百姿 詳細情報
取材レポート
国立科学博物館「特別展 ミイラ ~ 「永遠の命」を求めて」
特別展 ミイラ
町田市立国際版画美術館「美人画の時代―春信から歌麿、そして清方へ―」
美人画の時代
横浜美術館「オランジュリー美術館コレクション
オランジュリー
太田記念美術館「ラスト・ウキヨエ 浮世絵を継ぐ者たち ―悳俊彦コレクション」'
ラスト・ウキヨエ
東京国立近代美術館工芸館「竹工芸名品展:ニューヨークのアビー・コレクション
竹工芸名品
渋谷区立松濤美術館「日本・東洋 美のたからばこ」
美のたからばこ
五島美術館「特別展 美意識のトランジション ─ 十六から十七世紀にかけての東アジアの書画工芸 ─」
美のトランジション
東京都美術館「コートールド美術館展 魅惑の印象派」'
コートールド美術館
国立歴史民俗博物館「ハワイ:日本人移民の150年と憧れの島のなりたち」
ハワイ:日本人移民
上野の森美術館「ゴッホ展」'
ゴッホ展
神奈川県立近代美術館
ふたたびの「近代」
Bunkamura
リヒテンシュタイン
森アーツセンターギャラリー「バスキア展
バスキア
パナソニック汐留美術館「ラウル・デュフィ展 絵画とテキスタイル・デザイン」'
デュフィ
国立西洋美術館「ハプスブルク展
ハプスブルク展
東京国立博物館「正倉院の世界
正倉院の世界
国立新美術館「カルティエ、時の結晶」
カルティエ
福田美術館「開館記念 福美コレクション展」
福田美術館 開館
東京富士美術館「フランス絵画の精華」
フランス絵画の精華
三井記念美術館「茶の湯名椀『高麗茶碗』」'
高麗茶碗
寺田倉庫「STAR WARS™ Identities: The Exhibition」
スター・ウォーズ
ハラ ミュージアムアーク「加藤泉 ― LIKE A ROLLING SNOWBALL」
加藤泉
エリアレポート MIHO MUSEUM「The 備前 ―土と炎から生まれる造形美―」
[エリアレポート]
The 備前
エリアレポート 名古屋市美術館「カラヴァッジョ展」
[エリアレポート]
カラヴァッジョ
エリアレポート 岐阜県美術館「リニューアルオープン特別企画」
[エリアレポート]
岐阜美リニューアル
エリアレポート 京都国立近代美術館「円山応挙から近代京都画壇へ」
[エリアレポート]
円山応挙
エリアレポート 秋田県立美術館 「特別展 キスリング展 エコール・ド・パリの巨匠」
[エリアレポート]
キスリング
エリアレポート 岡山芸術交流2019 「IF THE SNAKEもし蛇が」
[エリアレポート]
岡山芸術交流
エリアレポート 国立科学博物館「風景の科学展 芸術と科学の融合」
[エリアレポート]
風景の科学展
エリアレポート 横尾忠則現代美術館「横尾忠則 自我自損展」
[エリアレポート]
横尾忠則 自我自損
エリアレポート 中之島香雪美術館 「交流の軌跡―初期洋風画から輸出漆器まで」
[エリアレポート]
交流の軌跡
エリアレポート 県立神奈川近代文学館 特別展「中島敦展 ― 魅せられた旅人の短い生涯」
[エリアレポート]
中島敦
エリアレポート 東京オペラシティ アートギャラリー「カミーユ・アンロ 蛇を踏む」
[エリアレポート]
カミーユ・アンロ
第3回 インターネットミュージアム検定
B-OWND 工芸のマーケットプレイスミュージアグッズのオンラインショップ ミュコレ
2020年の展覧会予定(東京・名古屋・大阪 近郊)
2019年の展覧会予定(東京・名古屋・大阪 近郊)
皇室がご覧になった展覧会 博物館・美術館の情報
テレビでミュージアム 博物館・美術館の情報
エリアレポート(読者による取材記事) 博物館・美術館の情報
ニュース
一覧
東日本大震災・ミュージアム関連情報サイト MUSEUM ACTION
イベント検索ランキング
ゴッホ展 ハプスブルク展−600年にわたる帝国コレクションの歴史 特別展 ミイラ ~ 「永遠の命」を求めて 御即位記念特別展「正倉院の世界 ― 皇室がまもり伝えた美 ―」
カラヴァッジョ展 ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道 建国300年 ヨーロッパの宝石箱リヒテンシュタイン 侯爵家の至宝展 ラウル・デュフィ展 ― 絵画とテキスタイル・デザイン ―
博物館・美術館検索
ミュージアムキャラクターアワード2018 ミュージアムキャラクターアワード
2019、グランプリは「つくぞう&つくみ」でした
ミュージアム干支コレクションアワード 干支コレクションアワード「猪」
グランプリは「ペッカリー(ヘソイノシシ)象形土偶」でした
人気の展覧会 ブログパーツ アクセス数が多い展覧会を地域別にご紹介、ご自由にどうぞ。
刀剣乱舞(とうらぶ)に登場する刀たち 「刀剣乱舞-ONLINE-」に実装された刀、IM取材分をまとめました。
パートナーサイト 関連リンク集

             

博物館、美術館、展覧会の情報登録
博物館、美術館、展覧会に最適。広告のお問い合わせ
インターネットミュージアムへのお問い合わせ

Copyright(C)1996-2019 Internet Museum Office. All Rights Reserved.
ミュージアム・博物館・美術館の情報サイト[インターネットミュージアム]は、丹青グループが運営しています
協力/ (株)丹青研究所 、編集・制作/ (株)丹青社