8章構成の会場、新石器時代に作られた人の形の像などから始まります。後にエーゲ海の南、クレタ島では開放的なミノス文明(クレタ文明)が開花し、各地に宮殿が建設されました。
黒い緑泥石を彫って作られた《牛頭形リュトン》は、細部の表現も見事。宗教儀式用の祭具と思われます。
《漁夫のフレスコ画》は前17世紀のものですが、実に鮮やか。火山が噴火して灰に埋まっていたため、良い状態が保たれました。
第1章「古代ギリシャ世界のはじまり」、第2章「ミノス文明」幾何学様式時代に作られたのは、メアンダー文(雷文状の連続曲折模様)、同心円、ジグザグ文などの幾何学文が描かれた陶器など。大型の陶器は墓標になりました。
紀元前7世紀末~前6世紀は、アルカイック時代。アルカイック・スマイルで微笑む、等身大の大理石彫刻が登場します。
第4章「幾何学様式~アルカイック時代」8月5日のリオ五輪開幕も迫りますが、オリンピック発祥の地はもちろんギリシャです。オリンピアのゼウス神域で4年に一度の競技祭が始まったのは、紀元前8世紀。最初は徒競走だけでしたが次第に競技も増え、大規模な競技祭に発展しました。
陶器などに競技種目は描かれており、拳に革ひもを巻き付けただけのボクシング、映画「ベン・ハー」でも知られる戦車競走などは、現在の感覚ではかなり危険。優勝者は大きな名誉を得る事となり、その彫像は神域に奉納されました。
第6章「古代オリンピック」広大な世界帝国を築いたアレクサンドロス大王の死後、世界に広まっていったヘレニズム。ギリシア文化とオリエント文化の融合によって、リアルな肖像彫刻、官能的な女性像が数多く作られました。本展には出展されませんが、ミロのヴィーナスはヘレニズム期を代表する彫刻です。
紀元前31年、ギリシャはローマ人に征服されますが、その美術は征服者たちも魅了しました。ローマ時代の肖像彫刻やモザイクから、ギリシャ美術の影響を見る事ができます。
第8章「ヘレニズムとローマ」全325件の展示作品のうち、9割以上が日本初公開という貴重な展覧会。東京展の後は長崎、神戸に巡回します(
会期と会場はこちらです)。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2016年6月20日 ]■東京国立博物館 古代ギリシャ に関するツイート