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レポート
巨匠たちのクレパス画展 ―日本近代から現代まで―
SOMPO美術館 | 東京都
「子ども向け」は、大きな誤解です
1925年(大正14)、日本で誕生したクレパス。当初から児童教育の現場で使われたため「子ども向けの画材」というイメージが強いですが、その優れた特性により、想像以上の多彩な表現が可能です。文化勲章受章者など、超一流の画家がクレパスで描いた作品を紹介する展覧会が、東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館で開催中です。
(左から)寺内萬治郎《裸婦》制作年不明 / 寺内萬治郎《緑衣の婦人像》制作年不明
(左から)山本鼎《江の浦風景》1934年 / 山本鼎《西瓜》制作年不明
(左から)朝井閑右衛門《静物》制作年不明 / 小川マリ《静物》制作年不明
(左から)猪熊弦一郎《顔》1950年 / 猪熊弦一郎《二人の子ども》制作年不明
(左から)小磯良平《静物とモデル》制作年不明 / 小磯良平《婦人像》1951年
(左から)岡本太郎《虫》制作年不明 / 岡本太郎《鳥と太陽》制作年不明
(左から)瀧本周造《Parque Park》2011年 / 瀧本周造《緑の扉》2005年
(左から)鴻池朋子《Little Wild Things》2015年 / 富田有紀子《赤い長方形》2015年
(左から)入江明日香《Premices Printaniers 春の兆し》2015年 / 卯野和宏《バラ》2014年
線描に向いていますが、重ね塗りや混色ができないクレヨン。繊細なグラデーション表現や混色が可能ですが、紙の上での定着に難があるパステル。両者の良いところを合わせ持つ画材として開発されたのが、クレパスです。

クレパスの普及に大きく寄与したのが、洋画家の山本鼎(やまもとかなえ)。山本は児童画の教育において、手本を模写させていた臨画教育から、感じたままに描かせる自由画教育への転換を推進。描きやすいクレパスは、教育現場に広まっていきました。

本展は、サクラアートミュージアムが所蔵するクレパス画を紹介するもの。サクラクレパスは戦後から1960年代にかけて、当時すでに大家とよばれていた作家に声をかけて、クレパスによる絵画制作を依頼。この流れは、現在でも続いています。

会場には日本近代美術史に残る巨匠から、新進気鋭の現代美術家まで、多彩な顔ぶれによるクレパス画がずらり。いくつかご紹介しましょう。

寺内萬治郎(1890-1964)は日本芸術院会員。「裸婦の寺内」と称される的確な人体表現は、クレパスでも見事に表現されています。

展覧会には洋画家だけでなく、彫刻家や版画家の作品があるのも特徴的。先日、100歳で亡くなった浜田知明(1917-2018)のクレパス画もあります。

「太陽の塔」で知られる岡本太郎(1911-1996)のクレパス画は2点展示。岡本太郎は、どの画材を使っても、岡本太郎になります。

気鋭の作家では、入江明日香(1980-)や絹谷香菜子(1985-)など。繊細な描写はクレパス画とは思えませんが、さまざまな道具を使う事により、クレパスはさらに表現の幅を拡げる事が可能です。



絵具と違い、乾きを待つ必要が無いクレパス。半分に折って短くしたクレパスの側面を使う事で面描が可能で、厚く塗り込むとクレパス特有のしっとりとした塗面が得られます。絵具と違って何色混ぜても色が濁らないのもポイント。経年劣化によるダメージにも強い、極めて優秀な描画材料なのです。

ここまで読んで自分でも描きたくなった方は、1階ロビーの「クレパス画体験コーナー」へ。ゴッホ「ひまわり」のぬり絵など、色々なクレパス画が体験できます。事前申し込みの必要はなく、当日自由参加が可能、しかも無料です。

[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2018年7月13日 ]

※作品はすべてサクラアートミュジアム蔵


料金一般当日:1,000円
 → チケットのお求めはお出かけ前にicon

 
会場
会期
2018年7月14日(土)~9月9日(日)
会期終了
開館時間
10:00~18:00
※入館は閉館の30分前まで
休館日
月曜日(ただし7月16日は開館、翌17日も開館)
住所
東京都新宿区西新宿1-26-1損保ジャパン日本興亜本社ビル42階
電話 03-5777-8600(ハローダイヤル)
03-5777-8600(ハローダイヤル)
公式サイト http://www.sjnk-museum.org
料金
一般 1,000(800)円/大学・高校生 700(500)円/65歳以上 800円/中学生以下 無料

※( )内は前売券および20名以上の団体料金
※前売券は4月24日(火)~7月13日(金)まで各プレイガイドで販売
※各種割引は要証明
※身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳を提示のご本人とその付添人1名は無料
※被爆者健康手帳を提示の方はご本人のみ無料
展覧会詳細 巨匠たちのクレパス画展 ―日本近代から現代まで― 詳細情報
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