「ビッグコミック」(小学館)でゴルゴ13の連載が始まったのは、1968年11月。半世紀にわたって一度の休載も無く連載は続いており、まさに国民的な漫画作品といえる存在です。
一説によると、床屋に置いている漫画のランキングで、圧倒的な1位がゴルゴ13。特に男性なら、一度は読んだ事があると思います。
ゴルゴ13の原画は、これまでも展覧会で紹介された事がありますが、今回は連載50年を記念した特別展。初公開の原画のほか、門外不出のモデルガンなど貴重な資料を揃え、ゴルゴファンにはたまらない展覧会となりました。
早速、39点の原画が並ぶ第1章「軌跡」からご紹介しましょう。記念すべき第1話は「ビッグ・セイフ作戦」、若き日のゴルゴは軽口も叩きます。173話「沸騰」の扉絵は出版時に修正されたため、展示作は「幻の扉絵」といえます。
第2章は「狙撃」。ゴルゴ愛用のライフル「アーマライトM16」を実際に構えて、スコープを覗けるコーナーが用意されました。ずっしりと重いアーマライトM16で、ゴルゴは数々の奇跡的な狙撃を成し遂げています。
第3章は、ゴルゴ13のもうひとつの魅力といえる「女性」。ゴルゴと夜をともにした(昼間もありますが)100人の女性が、壁一面に紹介されています。
女性が中心になったタイトルで、特に人気が高い作品が、第81話「海へ向かうエバ」。ニースで再び肌を合わせた、男女の殺し屋。偶然の再会を喜ぶエバに対し「いや…偶然じゃあない!…」。短編映画のように、味わい深い傑作です。
第4書は「制作」。さいとう・プロダクションは、早い時期から漫画制作に分業制を導入。この開明的な考え方が、長期に渡ってクオリティの高い作品を発表し続ける事に繋がっています。ここではさいとう・たかを氏のワークルームも再現されており、等身大のゴルゴ像と記念撮影できます。
第5章は「人気」。知名度が高いゴルゴ13は、省庁や企業のポスターにもしばしば登場。外務省とのコラボ「ゴルゴ13×外務省 海外安全対策マニュアル」は、この4月に動画版も公開されました。ゴルゴが「たびレジ」(海外の安全情報などが受け取れる、外務省のサービス)を勧めるなど、そのシュールさも魅力です。
会場各所には、ゴルゴの名言を用いた説明パネルも。「観覧券を出してもらおう……俺はそれ以外の取引はしないことにしている」と、会場冒頭からユーモアたっぷりです。
また、本展はグッズも魅力的。公式サイトではTシャツ、ライター、アイマスクなどが紹介されていますが、トートバッグ、キーホルダー、ステッカーなど他も多数。ファンの方は、財布の中も余裕をもってお越しください。
展覧会は大阪からスタートし、岩手を経て川崎へ。首都圏での開催は、川崎市市民ミュージアムのみの予定です。この後は、下関市美術館に巡回します(2019年2月日~3月24日)。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2018年9月21日 ]