インターネットミュージアム
美術館・博物館・イベント・展覧会 インターネットミュージアム
  インターネットミュージアム  >  取材レポート  >  三島由紀夫「豊饒の海」のススメ

三島由紀夫「豊饒の海」のススメ

■「豊饒の海」を、読んでみませんか
【会期終了】 戦後の日本文学界を代表する作家、三島由紀夫(本名:平岡公威 1925-1970)。代表作「豊饒の海」シリーズの第1巻「春の雪」が刊行されてから、今年で50年を迎えます。「豊饒の海」全4巻を紹介する展覧会が、鎌倉文学館で開催中です。
「豊饒の海」シリーズは、「春の雪」「奔馬」「暁の寺」「天人五衰」の4巻からなる、三島由紀夫の最後の長編小説。タイトルの「豊饒の海」とは、月面にある海の一つ「Mare Foecunditatis」(豊な海)に由来するとされています。

小説は、十八歳の侯爵家嫡子・松枝清顕と、清顕を想う伯爵家令嬢で幼馴染みの綾倉聡子の悲劇的な恋愛と、清顕の死から始まる輪廻転生の物語です。物語のはじまり、「春の雪」のあらすじを簡単に説明します。

皇族と婚約した聡子。清顕は彼女が手の届かない「究極の女」と化したことを知ります。禁を犯した逢瀬の末、皇族との婚約を控えていながら、聡子は清顕の子を妊娠。この事実を知り、松枝家と綾倉家の両家は、子を始末し、聡子を予定どおり結婚させようとします。

しかし、聡子はすべてを捨てて奈良の寺で出家。清顕は病身を押して、聡子が出家した奈良の寺を訪ねますが、遂に会うことは叶わず。旅の疲れから清顕は肺を患い、親友の本多繁邦へ「又、会うぜ」と謎の言葉を残して、20歳でこの世を去ります。

本展では、直筆の原稿や創作ノートなどを通じて「豊饒の海」の魅力を紹介する企画。作品の魅力を紹介します。タイトルの「ススメ」は、「進め」ではなく「勧め」。今こそ三島畢生の作品「豊饒の海」を完読してみませんか?と、お勧めする意味です。



展示は2部構成。第1部「「豊饒の海」のススメ」では、創作ノートや手紙などの資料が展示されています。「豊饒の海」の構成のほか、執筆当時の三島について紹介されます。

会場の鎌倉文学館は、旧前田侯爵家の別邸を鎌倉市から寄贈を受け、昭和60年以来、文学館として活用されていますが、三島も「豊饒の海」の執筆の際、取材のために訪れています。

昭和40年の夏、三島が訪れた際に書いた《創作ノート「奔馬」》には、「裏山の裏側を北西に当り、大仏見ゆ」とあり、鎌倉大仏と思われる絵が描かれています。この訪問ののち、本館を「春の雪」に登場する松枝侯爵家の別荘「終南別業」のモデルとしました。

第2部では、全4巻の「豊饒の海」を、巻ごとに紹介。各巻の魅力とともに、登場人物の台詞などを抜き出し、キャプションと展示するなど、読書欲を引き出す仕掛けが施されています。

目玉は、《原稿「天人五衰」30節》です。前期展示(4/20~5/29)は、レプリカで紹介されていましたが、後期展示(5/30~7/7)からは、三島による直筆の原本が展示されています。

「豊饒の海」は、三島由紀夫の遺作。三島は《原稿「天人五衰30節》を机の上にのこし、三島は市ヶ谷の陸上自衛隊駐屯地に向い、演説の後、割腹自殺をする事となります。

原稿末尾には「「豊饒の海」完。/昭和四五年十一月二十五日」。三島が自決したのも11月25日です。やはり生の原稿を目にすると、三島が命がけで書いた物語の重さを感じます。

1階展示室入口には、清顕と三島の後輩がススメる「豊饒の海」コーナーが。「豊饒の海」のポイントを、三島が通っていた学習院中等科の3年生(2019年現在)が紹介します。中学生とは思えない、しっかりとした紹介文に思わず唸ります。

「豊饒の海」を魅力を余すことなく伝える本展。第2部の紹介で完全に本作の魅力に落ちた筆者は、早速「春の雪」を購入したほど。読書欲が刺激される、熱量の高い展示でした。

[ 取材・撮影・文:静居絵里菜 / 2019年6月5日 ]

豊饒の海 第一巻 春の雪豊饒の海 第一巻 春の雪

三島 由紀夫(著)

新潮社
¥ 767

 
会場鎌倉文学館
開催期間2019年4月20日(土)~7月7日(日)
所在地 神奈川県鎌倉市長谷1-5-3
TEL : 0467-23-3911
HP : http://www.kamakurabungaku.com/
展覧会詳細へ 三島由紀夫「豊饒の海」のススメ 詳細情報
取材レポート
上野の森美術館「ゴッホ展」'
ゴッホ展
東京国立博物館「正倉院の世界
正倉院の世界
パナソニック汐留美術館「ラウル・デュフィ展 絵画とテキスタイル・デザイン」'
デュフィ
三井記念美術館「茶の湯名椀『高麗茶碗』」'
高麗茶碗
鳥取県立博物館「殿様の愛した禅 黄檗文化とその名宝」
黄檗文化とその名宝
森アーツセンターギャラリー「バスキア展
バスキア
国立新美術館「カルティエ、時の結晶」
カルティエ
渋谷区立松濤美術館「日本・東洋 美のたからばこ」
美のたからばこ
福田美術館「開館記念 福美コレクション展」
福田美術館 開館
太田記念美術館「歌川国芳 ─ 父の画業と娘たち」
歌川国芳
東京富士美術館「フランス絵画の精華」
フランス絵画の精華
横浜美術館「オランジュリー美術館コレクション
オランジュリー
東京国立近代美術館工芸館「竹工芸名品展:ニューヨークのアビー・コレクション
竹工芸名品
根津美術館「美しきいのち
美しきいのち
サントリー美術館「黄瀬戸・瀬戸黒・志野・織部
美濃の茶陶
21_21 DESIGN SIGHT「虫展 ―デザインのお手本―」
虫 展
寺田倉庫「STAR WARS™ Identities: The Exhibition」
スター・ウォーズ
ハラ ミュージアムアーク「加藤泉 ― LIKE A ROLLING SNOWBALL」
加藤泉
森美術館「塩田千春展:魂がふるえる」
塩田千春
日本科学未来館「企画展「マンモス展」 その「生命」は蘇るのか」'
マンモス展
江戸東京博物館「士
士 サムライ
エリアレポート 世田谷美術館 「チェコ・デザイン 100年の旅」
[エリアレポート]
チェコ・デザイン
エリアレポート MIHO MUSEUM「The 備前 ―土と炎から生まれる造形美―」
[エリアレポート]
The 備前
エリアレポート 秋田県立近代美術館 「若冲と京の美術」
[エリアレポート]
若冲と京の美術
第3回 インターネットミュージアム検定
ミュージアグッズのオンラインショップ ミュコレ
2020年の展覧会予定(東京・名古屋・大阪 近郊)
2019年の展覧会予定(東京・名古屋・大阪 近郊)
皇室がご覧になった展覧会 博物館・美術館の情報
テレビでミュージアム 博物館・美術館の情報
エリアレポート(読者による取材記事) 博物館・美術館の情報
ニュース
一覧
東日本大震災・ミュージアム関連情報サイト MUSEUM ACTION
イベント検索ランキング
ゴッホ展 ハプスブルク展−600年にわたる帝国コレクションの歴史 ラウル・デュフィ展 ― 絵画とテキスタイル・デザイン ― 大観・春草・玉堂・龍子 ― 日本画のパイオニア ―
ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道 秋季特別展「名場面」 ヨーロッパの宝石箱 リヒテンシュタイン 侯爵家の至宝展 秋季企画展「技と造形の縄文世界」
博物館・美術館検索
ミュージアムキャラクターアワード2018 ミュージアムキャラクターアワード
2019、グランプリは「つくぞう&つくみ」でした
ミュージアム干支コレクションアワード 干支コレクションアワード「猪」
グランプリは「ペッカリー(ヘソイノシシ)象形土偶」でした
人気の展覧会 ブログパーツ アクセス数が多い展覧会を地域別にご紹介、ご自由にどうぞ。
刀剣乱舞(とうらぶ)に登場する刀たち 「刀剣乱舞-ONLINE-」に実装された刀、IM取材分をまとめました。
パートナーサイト 関連リンク集

             

博物館、美術館、展覧会の情報登録
博物館、美術館、展覧会に最適。広告のお問い合わせ
インターネットミュージアムへのお問い合わせ

Copyright(C)1996-2019 Internet Museum Office. All Rights Reserved.
ミュージアム・博物館・美術館の情報サイト[インターネットミュージアム]は、丹青グループが運営しています
協力/ (株)丹青研究所 、編集・制作/ (株)丹青社