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優しいほとけ・怖いほとけ

■おごそか・やさしい・きびしい・おそろしい
【会期終了】 慈愛に満ちた面持ちから、眼を見開いた憤怒の形相まで。絵画や彫刻で表現されたほとけを見ると、実にさまざまな表情をしている事が分かります。館蔵品のほとけの表情に着目し、その意味を考える展覧会が根津美術館で開催中です。
仏の姿を分類すると「如来」「菩薩」「明王」。釈迦が出家した後が如来で、出家前が菩薩。教えに従わないものを屈服させるのが明王で、その中には古代インドの神だった「天」も含まれます。

ほとけの表情に焦点をあてた本展では、4つの仏のグループをキーワードを用いて説明。如来は「おごそか」、菩薩は「やさしい」とされています。

6年に及ぶ苦行を経て瞑想に到達し、遂に悟りを開いたお釈迦さま。釈迦如来は、仏教の教えそのものであり、特別な存在といえます。

装飾品は無く、頭頂は盛り上がり、額には白毫。表情は静かで厳かです。やや伏し目がちのお顔は、人々の心を見透かすようです。

質素な出でたちの如来に比べ、装飾品が多いのが菩薩です。ほとけの教えを人々に伝える菩薩は、観音菩薩、勢至菩薩、地蔵菩薩、普賢菩薩と、種類が多いのも特徴といえます。



「きびしい」表情のほとけさまが、天。須弥山の中腹で四方を守る持国天(東)、増長天(南)、広目天(西)、多聞天(北)は、甲冑に身を固め、厳しい表情で目を光らせています。

「おそろしい」のが明王。密教の頂点である大日如来の命を受け、どんな力にも打ち勝つ強いほとけさまです。

代表的な明王である不動明王は、大日如来の化身です。降三世、軍荼利、大威徳、金剛夜叉(または烏枢沙摩)をあわせた五大明王として、彫刻や絵画で数多く表現されてきました。

修繕されて本展で初公開となる《愛染明王坐像》も、髪を逆立たせた怒りの形相。ただ、実はこの姿は、人間がもつ煩悩、中でも愛欲とその執着のすさまじさを示しています。

それらの煩悩を否定せず、そのパワーを悟りへ向かう方向に転換させ、さまざまなご利益をもたらすという愛染明王。やや都合が良い解釈のためか、平安時代後期以降、朝廷や貴族に篤く信仰されました。

絵画コレクションの印象が強い根津美術館ですが、本展では彫刻が数多く展示されています。さらに前述の《愛染明王坐像》をはじめ3体は展示ケースに入れず、露出での展示。細部までじっくりとお楽しみください。

[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2019年7月24日 ]

フランス人がときめいた日本の美術館フランス人がときめいた日本の美術館

ソフィー・リチャード (著), 山本 やよい (翻訳)

集英社インターナショナル
¥ 2,376

 
会場根津美術館
開催期間2019年7月25日(木)~8月25日(日)
所在地 東京都港区南青山6-5-1
TEL : 03-3400-2536
HP : http://www.nezu-muse.or.jp/jp
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