2011年6月にリニューアル開館した
武蔵野美術大学 大学美術館。以前は同じ建物に図書館も入っていましたが、図書館は新築された別棟になり、美術館に特化した新たな大学美術館として再スタートしました。
日宣美とムサビリニューアル記念「ムサビのデザイン」の第二弾である本展は、5つの会場で構成されています。
最初は美術館2階の展示室4と5から。「日宣美とムサビ」「ペルソナ展」で、主にポスター類が展示されています。続くアトリウム2では1950年~1979年のデザイン史が年表で表現されており、奥の椅子ギャラリーでは名作の椅子がずらり。最後は図書館展示室で50~70年代の雑誌の紹介、という流れです。
ペルソナ展日本のグラフィック・デザインを牽引してきた日宣美(日本宣伝美術会)は1970年に解散。事務局に残った多くの資料が武蔵野美術大学 美術館・図書館に寄贈されました。
また、1965年に松屋銀座で開催された「ペルソナ」展は、11名のデザイナーと5名の招待デザイナーが参加。当時のグラフィック・デザインを象徴する展覧会といえます。
会場には原弘、田名網敬一、田中一光、永井一正、勝井三雄ら、名だたるデザイナーの若き日の作品が並びます。ペルソナ展の資料は40年ぶりの公開です。
アトリウム2のデザイン史年表次の見どころが、椅子ギャラリー。武蔵野美術大学 美術館の椅子のコレクションは定評がありますが、普段は学内の授業で使われるだけで一般には公開されていません。
本展では50~70年代の椅子50脚が展示されました。中央に置かれたエッグチェア(A.ヤコブセン)をはじめ、バタフライスツール(柳宗理)、Yチェア(H.ウェグナー)、スーパーレジェーラ(G.ポンティ)など、デザイン好きにはお馴染みの定番椅子が揃っています。
椅子ギャラリー最後は約80冊の雑誌。洋書・和書に分けられて、テーブルと壁面で展示。ガロなど一部の雑誌は、図書館の階段スペースに置かれて、手にとって見られるようになっていました。
都心からのアクセスは便利とは言い難い場所ですが、入館料無料は嬉しい限り。複数の展示室があるため、取材時も本展を含めて4展が開催中でした。(取材:2012年5月17日)