長年、ファッション業界でビジネスに携わってきたコレクターの桶田俊二・聖子夫妻。2000年代から収集した骨頭から現代アートのコレクションを展示する展覧会が、WHAT MUSEUMで開催中です。
WHAT MUSEUM OKETA COLLECTION「Mariage (マリアージュ) −骨董から現代アート−」展ビジュアル
骨頭を収集していた桶田夫妻は、2010年に草間彌生の作品に出合ったことをきっかけに、コンテンポラリーアートへを本格的にコレクションをはじます。 オークションや海外ギャラリー、アートフェアで購入したコレクション。
会場では「身体」「モノクローム」「カラー」の3つのテーマに分けて紹介をしています。
会場風景
ホールエリアでは「身体」のテーマにした立体作品を展示。目に留まるピースをしたキャラクター《VICK》は、グラフィック・アーティストだったVERDYが初めてつくった立体作品。この作品と向かい合っているのが、“マンゴ・トムソンのミラー作品《November 14, 2016(The End is Near)》です。
展覧会タイトルの「Mariage(マリアージュ)」は、フランス語で“結婚”や“婚姻”を意味する言葉。別々の存在が互いに調和した状態も指し、鏡と鏡にうつる作品、そこに人が入ることで一つの“マリアージュ”が生まれ、作品が完成します。
会場風景
会場風景
奥に足を進めると、高さの異なる展示台で仕切られた空間で作品を探ながら見ることができるのもポイントです。
会場風景
右手のSPACE3では、北大路魯山人《椿鉢》や桶谷寧《曜変天目茶碗》などが陶芸品のほか、OKETA COLLECTIONとしては初出展となる作品が並びます。
注目は、ロサンゼルスを拠点に活動しているクレイグ・クチアの《a window as a painting as a painting is a window》。開幕直前にロサンゼルスからWHAT MUSEUMに直接届けられた世界初公開の作品です。
クレイグ・クチア《a window as a painting as a painting is a window》Craig Kucia, a window as a painting as apainting is a window, 2022, Oil on linen,198.12 x 292.1 centimeters (78 x 115inches). Courtesy of the Artist and MAKI Gallery.
SPACE4では「モノクロ」をテーマに、李朝の白磁壺や夫妻と親交があったヴァージル・アブローの絵画、ラシード・ジョンソンやアダム・ペンドルトンの作品が並びます。
会場風景
スペース5では、シュー・デイ・ジャクソン、ネイト・ロウマン、名和晃平の作品を紹介。 名和晃平率いる「SANDWICH」に依頼した空間では、彼の代表作と言える《PixCell-Deer#48》を360°見ることができます。
ビーズが施された剝製の鹿は、“森の中に出会った鹿”がコンセプトにつくられたもの。作品に近づくと、レンズを通して毛皮や様々なものがみえてきます。
名和晃平 《PixCell-Deer#48》 © Kohei Nawa | Sandwich
8月6日からは、後期展「YES YOU CAN −アートからみる生きる力−」展も開催されます。 桶田夫妻の現代アートコレクションの原点でもある草間彌生をはじめとする国内外の女性作家が紹介される展示も楽しみです。
[ 取材・撮影・文:坂入 美彩子 2022年4月27日 ]