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    レポート
    駒井哲郎 ─ 煌めく紙上の宇宙
    横浜美術館 | 神奈川県
    色鮮やかな作品も
    詩情豊かなモノクロームの作品で知られる、銅版画家の駒井哲郎(1920-1976)。日本ではメジャーといえなかった銅版画を追及し、国内外で高い評価を受けました。版画や詩画集など駒井の作品約210点に、関連作家作品約70点を加えた大規模な展覧会が、横浜美術館で開催中です。
    (左から)駒井哲郎《Vase de fleurs(花瓶)》制作年不詳 / 駒井哲郎《Fleurs et Fruits(花と果実)》1973年頃 ともに世田谷美術館(福原義春コレクション)
    (左から)駒井哲郎《船着場のある風景》1935年 / 駒井哲郎《滞船》1935年 ともに世田谷美術館(福原義春コレクション)
    (左から)駒井哲郎《孤独な鳥》1948年 / 駒井哲郎《思い出》1948年 ともに横浜美術館
    (左から)駒井哲郎《夜の森》1958年 世田谷美術館(福原義春コレクション) / 駒井哲郎《鬼火》1953年 埼玉県立近代美術館
    (左から)駒井哲郎《R夫人像》1950年 世田谷美術館(福原義春コレクション) / 長谷川潔《二つのアネモネ》1934年 横浜美術館
    (左から)駒井哲郎《題名不詳(『からんどりえ』の表紙のバリエーション)》1960年 世田谷美術館(福原義春コレクション) / 駒井哲郎《食卓Ⅰ》1959年 埼玉県立近代美術館[展示期間:10/13~11/14]
    (左から)駒井哲郎《死んだ鳥の静物》1962年 / 駒井哲郎《鳥と果実》1959年 ともに埼玉県立近代美術館
    (左から)駒井哲郎《Germination(夜の芽生え)》1959年 / 駒井哲郎《13》1959年 ともに世田谷美術館(福原義春コレクション)
    会場には駒井哲郎が愛用した品々も
    1950年代、日本の版画は世界を席捲していましたが、その嚆矢が駒井哲郎。1951年に木版画の齋藤清とともに「第1回サンパウロ・ビエンナーレ」で材聖日本人賞、翌年には木版画の棟方志功と「第2回ルガノ白と黒国際版画ビエンナーレ」の9人賞を受賞と、その実力を示しました。

    受賞作も含め、駒井といえばモノクロの作品が代表的ですが、実は多色刷りも多数手がけています。展覧会では、あまり知られていないカラフルな作品も含め、関連作家の作品とあわせて、駒井の歩みを6章で紹介していきます。

    第1章「銅版画との出会い」。14歳で銅版画に出会った駒井。当時、美術における版画の位置づけは曖昧で、美術系大学に版画科はありませんでした。駒井も東京美術学校では油画科予科に入学。臨時版画教室などで研鑽し、銅版画の技術を身に付けていきます。初期の作品は写実的な水辺の風景、ホイッスラーからの影響が感じられます。

    第2章「戦後美術の幕開けとともに」。駒井を飛躍させたのが、木版画家・恩地孝四郎との出会いです。1947年に恩地が主宰した版画研究会「一木会(いちもくかい)」の同人となり、内的な心象風景をあらわす作風に変化。技術的にも面の表現に取り組み、内外で脚光を浴びるようになります。

    第3章「前衛芸術との交差」。駒井も一時期参加した実験工房は、1951年から57年に活動した総合芸術グループです。詩人・美術評論家の瀧口修造のもとに造形作家・作曲家・ピアニスト・照明家など14人が集いました。駒井はグループの中ではひと回り年長で、他のメンバーにとっても駒井の存在は大きな刺激になりました。




    第4章「フランス滞在と「廃墟」からの再生」。1954年に駒井は渡仏し、銅版画の本場でデューラーやレンブラントなどの版画に触れました。1年半後に帰国するも、伝統の重さを実感して自信喪失気味に。樹木を題材にしたシリーズから、徐々に立ち直っていきました。

    第5章「詩とイメージの競演」。駒井は詩人とも数多く共作しています。1958年に詩人・大岡信の詩に寄せた版画を制作して以来、親しく交遊。安東次男とは、詩画集『からんどりえ』『人それを呼んで反歌という』を続けて制作しています。

    第6章「色彩への憧憬」。駒井は1950年代から色刷りを手掛けていますが、「白と黒の作家」である事への自負からか、生前は発表しませんでした。ただ、晩年になるにつれて色彩あふれる作品が目立つのは、敬愛するルドンへの思いが透けて見えます(ルドンも晩年はカラフルな作品を描きました)。

    脈々と続いてきた木版画とは異なり、日本における銅版画は長くマイナーなジャンルでしたが、その荒野を切り開いたのが駒井。56歳没と、短命だった事が惜しまれます。

    今回は会場にて、駒井愛用の品々も展示されています。銅版画のさまざまな技法についても、やさしい言葉で解説されています。

    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2018年10月12日 ]

    駒井哲郎(日本現代版画)駒井哲郎(日本現代版画)

    駒井 哲郎(著)

    玲風書房
    ¥ 6,200

     
    会場
    会期
    2018年10月13日(土)~12月16日(日)
    開館時間
    10:00~18:00
    (入館は閉館の30分前まで)
    休館日
    木曜日
    住所
    神奈川県横浜市西区みなとみらい3-4-1
    電話 045-221-0300
    公式サイト https://yokohama.art.museum/
    料金
    一般 1,500円(前売 1,300円 / 団体 1,400円) / 大学・高校生 900円(前売 700円 / 団体 800円) / 中学生 600円(前売 400円 / 団体 500円) / 小学生以下 無料 / 65歳以上 1,400円(要証明書、美術館券売所でのみ対応)

    ※( )内は前売および有料20名以上の団体料金(団体券は美術館券売所でのみ販売、要事前予約)
    ※前売券は2018年7月13日(金)から10月12日(金)まで販売
    ※2018年11月3日(土・祝)は観覧無料
    ※毎週土曜日は高校生以下無料(要生徒手帳、学生証)
    ※障がい者手帳をお持ちの方と介護の方(1名)は無料
    ※観覧当日に限り本展の観覧券で「横浜美術館コレクション展」も観覧可
    展覧会詳細 駒井哲郎 ─ 煌めく紙上の宇宙 詳細情報
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