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レポート
生誕140年記念 下村観山展
横浜美術館 | 神奈川県
伝統の研究が生み出す、線と色彩
10月に開催された「横山大観展」に引き続き、横浜美術館では近代日本画の巨匠をピックアップ。大観と同じく岡倉天心を師と仰ぎ、日本芸術院の立ち上げにも参加した横浜ゆかりの画家、下村観山の大規模な回顧展です。
《小倉山》明治42年 絹本着色 六曲一双
《騎虎鍾馗》明治17年 紙本着色 右は画稿
右《熊野観花》前期は画稿、後期は卒業制作の着色された完成作を見ることができます
下村観山(右)・横山大観(左)《日・月蓬莱山図》※前期展示
左から《ラファエロ作「椅子の聖母」(模写)》明治37年、《十六羅漢》明治35年頃※12/7~1/14展示、《春日野》明治33年※12/7~1/14展示
左から《塞翁馬》大正4年頃※前期展示、《四眠》大正6年※12/7~1/28展示、《酔李白》大正7年、《臨済》大正5年頃※前期展示
左から《鵜図》1年頃 絹本着色 六曲一双、《寒山拾得》大正4年頃、《寒山拾得》大正4年頃、《日野資朝》大正8年頃 ※全て前期展示
《老松白藤図》大正10年 紙本着色 六曲一双※前期展示
左から《一休禅師》昭和5年、《小春日和》昭和5年、《竹の子》昭和5年 ※全て前期展示
下村観山は明治6年生まれ、能楽師の家に生まれました。8歳から狩野芳崖、橋本雅邦に学び、13歳で出品した展覧会ではその非凡な才能に注目が集まり、新聞の評に「実に後世恐るべし」とさえ書かれます。本展では幼いころの修行が垣間見える作品を見ることができます。


「第1章 狩野派の修行」から「第2章 東京美術学校から初期日本美術院」へ

16歳で東京美術学校に入学、同期には横山大観らが居ました。在学中には大和絵の技法を研究、卒業制作である《熊野観花》(1月14日から展示)でその技術は結集します。

また、絵巻物も研究し、《修羅道絵巻》に成果を見ることができます。鮮やかな色彩と卓越した画力、リズミカルな構成で描かれた明治33年、27歳のころの作品です。


《修羅道絵巻》 仏教における六道のひとつである修羅道は、阿修羅が住む争いの絶えない世界を描いています

明治31年、観山は天心、大観らとともに日本美術院の創設に携わります。その後は英国留学・欧州巡歴を経て、西洋絵画の技法も研究していきます。

本展のメインビジュアルになっている《小倉山》は、明治42年の作品。観山は西洋留学で洋画の色彩や配色を学び、帰国後は西洋顔料も使用して鮮やかな琳派の装飾性の表現を試みました。そのひとつの成果とされる本作は、前期のみ画稿も共に展示されます。


百人一首に納められた「小倉山 峰のもみぢ葉 心あらば 今一たびの みゆきまたなむ」の歌意を描いた作品

東京美術学校で1年後輩にあたる菱田春草は、観山について美術記者に語っています。

「下村君の態度は常に復古的である、それは最初より下村君の態度であった。或(あるい)は土佐絵或は宗達風と云う様に、何か古画に根拠を求めてそれに新しみを加えて自分の画を作る。そしてそこに面白みを出すことに長じている。」


《白狐》は天心亡き後の再興院展の第1回に出品されました

観山の作品の中で重要文化財に指定されている唯一の作品が《弱法師》です。大正4年の再興第2回院展に出品され、当時から最高傑作と評されました。立派な梅の枝と俊徳丸が描かれた右隻と、静かな夕日が浮かぶ左隻の対比が印象的。こちらは12月20日までの展示です。

大観や栖鳳という近代日本画のスーパースターと比較すると少し印象が薄い下村観山ですが、圧倒的な研鑽で培われた美しい線と色彩で描かれた作品は必見です。47年の画業を余すところなく紹介していますので、観山ビギナーにも是非お勧めです。

期間中、展示替えがありますので公式サイトでチェックしてからお出かけください。
[ 取材・撮影・文:川田千沙 / 2013年12月6日 ]


 
会場
会期
2013年12月7日(土)~2014年2月11日(火・祝)
会期終了
開館時間
10:00~18:00
(入館は閉館の30分前まで)
休館日
木曜日、年末年始(2013年12月29日(日)~2014年1月3日(金))
住所
神奈川県横浜市西区みなとみらい3-4-1
電話 045-221-0300
公式サイト http://www.yaf.or.jp/yma/
料金
一般 1,200(1,000/1,100)円/大学・高校生800(700/700)円/中学生 400(300/300)円/小学生以下無料
※( )内は前売/有料20名以上の団体料金(要事前予約)
※障がい者手帳をお持ちの方と介護の方1名は無料
※毎週土曜日は高校生以下無料(要生徒手帳、学生証)
展覧会詳細 生誕140年記念 下村観山展 詳細情報
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