【当面の間、開館延期】
春の光を感じると、浮足立ち嬉しくなり、なんともいえない幸せを感じます。
そんな気持ちにさせてくれる美術館、「京都市京セラ美術館」が大改修工事を終え、ついにオープンします。
まるで過去、現在、未来が交差しているかのようです。
久々に見る螺旋階段や床のタイルに安心し、吹き抜けで広々とした中央ホールや「東山キューブ」として誕生した新館に心が躍ります。
何よりどこを歩いても「光」を感じることができ、何かが始まるという期待が渦巻いています。
こけら落としとなる展覧会を紹介しましょう。まず本館での「最初の一歩:コレクションの原点」展。
本展は「京都の美術」の250年の歴史を彩った総計400点を超える名作を3部構成で紹介する開館記念展に先立っての特別企画展です。
最初の所蔵品や開館記念展の出品作品、第15回帝展、第21回院展の出品作から同館が購入した作品から、日本画、洋画、彫刻、工芸が並びます。
また美術館建設に関する記録や館名プレートなどもあり、改めて85年余りの長い歴史を感じ愛着を深めていくことができました。
同じ本館内に、コレクションルームも新設され、同館が所蔵する約3700点(2020年3月現在)の中から四季に応じて展示替えを行い公開されます。
もちろん今は「春」にちなんだ作品がずらり。
菊池契月、須田国太郎など、明治から昭和初期の作品が並んでいたかと思うと松井紫朗の平成元年の作品《Spring Rattle》がドンと置かれていて展示構成にもハッとさせられます。
コレクションルーム 展示風景
そして新館「東山キューブ」では「杉本博司 瑠璃の浄土」展が始まりました。
杉本は京都市京セラ美術館再生にあたり、かつて6つの大寺院がここ岡崎地区にあったことから仮想の寺院の荘厳を構想します。
入口つまり「参道」には、世界各地で撮影された《海景》をそれぞれに封じ込めた13基の《光学硝子五輪塔》が私たちを誘います。
「本堂」となる展示場には蓮華王院本堂(通称三十三間堂)の120メートルにも及ぶ千手観音を撮影した《仏の海》が迎えてくれました。
また世界初公開となる大判カラー作品「OPTICKS」シリーズは、プリズムを通して分光された色そのものを撮影しています。
モノクロ作品で知られる彼が試みた初めての鮮やかな色の作品ですが、静けさと神秘性を感じます。
「杉本博司 瑠璃の浄土」展示風景 ©Hiroshi Sugimoto
「杉本博司 瑠璃の浄土」展示風景 ©Hiroshi Sugimoto
また屋外の日本庭園に設置された《硝子の茶室 聞鳥庵(モンドリアン)》も見逃せません。
《硝子の茶室 聞鳥庵》2014年 Hiroshi Sugimoto Architects: New Material Research Laboratory/Hiroshi Sugimoto + Tomoyuki Sakakida. Originally commissioned for LE STANZE DEL VETRO. Venice/Courtesy of Pentagram Stiftung & LE STANZE DEL VETRO.
展覧会はこれだけではありません。
カラフルなインスタレーションで知られる鬼頭健吾の個展「鬼頭健吾:Full Lightness」も、新たな展示スペース「ザ・トライアングル」で開催されています。
このスペースでは今後京都ゆかりの作家を中心に新進作家の作品を紹介していくようです。
ここをきっかけに世界に羽ばたく大スター作家が生まれてほしい、そんな妄想も生まれてしまいました。
「鬼頭健吾:Full Lightness」展示風景
新しい歴史の始まりに出会い、これから共に生きていることを嬉しく思える、そんな美術館の誕生です。
これからの京都、関西、いや日本のアートシーンの新しい1ページがめくられました。
2020年4月4日(土)に開館を予定しておりましたが、新型コロナウイルスの状況に鑑み、4月11日(土)まで延期いたします。
これに伴い、来館の事前予約は4月8日(水)より開始いたします。
なお、状況に応じて予告なく予定を変更する可能性があります。最新情報はウェブサイトをご覧ください。
エリアレポーターのご紹介 | カワタユカリ 美術館、ギャラリーと飛び回っています。感覚人間なので、直感でふらーと展覧会をみていますが、塵も積もれば山となると思えるようなおもしろい視点で感想をお伝えしていきたいです。どうぞお付き合いお願いいたします。
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